アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダルのレビュー・感想・評価
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悲惨な話だし切ない気持ちになるんだけど「ギルーリーる」で笑う
最初のインタビューで、トーニャの元夫ジェフ・ギルーリーが「俺が動詞になった」「ヒザ小僧を殴打することを"ギルーリーる"と言うんだ」で何か笑ってしまって一旦止めましたw 何で局地的にヒザ小僧を殴打することを表す動詞が必要なんだよww
ちなみにギルーリーる…ギルーリー役は、アベンジャーズシリーズのバッキー・バーンズ(ウィンターソルジャー)を演じて日本でも急激に知名度を上げたセバスチャン・スタン。あのユルい顔だから余計笑ってしまう…何でこの人、こんなユルい顔してるのにDV野郎や異常者の役ばかりやってるんだろう。
主人公のトーニャ役は『スーサイド・スクワッド』でハーレイ・クインを演じ世界的に人気となったマーゴット・ロビー…なんですが…いや、びっくり。『スーサイド~』が2016年の作品なんですが、2017年の本作では、完全に悪い方の「オバサン」になっていて、化粧の差ももちろんでしょうけど、髪の艶もなくバサバサで、顔の皺も深く、動きも緩慢で姿勢も悪く、完全に「オバサン」。シャキッとした格好良いおばさんじゃなくて、心身共に不健康そうで態度も悪く、周りに毒をばらまくタイプの、悪い方の「オバサン」。まじで。アメリカのトーク番組に出てる時のマーゴットも見たことありますが、ハッキリ言って「ダレ???」レベルの容姿の差。す、凄い。
正直、『スーサイド~』の時はまた顔売りゴリ押しかなと思っていたのですが、全力で謝りたい。凄いよ、この俳優根性も、演技力も。
でも、流石に15歳の役にはちと厳しかったかな。まあ、白人の子は15歳くらいで日本人の20歳くらいに見える子も結構いるけど(失礼か)。
セバスチャン・スタンも高校卒業時という設定だから、充当に行ってれば18歳くらい…これもだいぶ厳しかった。だって『キャプテン・アメリカ(2011)』で既に成人演じてた人ですよ。その6年後に18歳の役て…その年齢層の良い俳優いなかったのか…?
あらすじ:
フィギュアスケートのアメリカ女子選手で初めてトリプルアクセルに成功したトーニャ・ハーディングは、親の虐待ともいえる厳しい教育に耐え、フィギュアスケーターとしてオリンピックに出場するまでに成長する。しかしトーニャの当時のライバルであったナンシー・ケリガンが、何者かに膝を負傷させられ全米選手権を欠席。その大会でトーニャが優勝したが、直後に元夫のジェフ・ギルーリーが事件の首謀者として逮捕され、トーニャと共謀したと発言したため、トーニャはフィギュアスケート界から居場所を失ってしまう。
いやね、周りからしたら虐待受けてたとか、ストレスが溜まってたとか、色々あってと言われても「だから何だ」って話なんですけど。でも虐待(暴力だけでなく無視や性的虐待も含む)を受けて育つと、自分の愛し方も他者への愛情の示し方もわからない大人になってしまうと言われていますが、トーニャはまさにそれだったのかなと。完全にDV野郎に捕まるタイプの思考回路。
トーニャも暴力的だし相手も暴力夫。お互い一歩間違ったら死ぬような暴力振るってるのに、当人達は愛し合ってるつもり。ジョニー・デップとアンバー・ハード夫妻もそうだったと証言してるカウンセラーがいたとか何とか、でも本人達はお互い「相手が悪い」で譲らない。お互い本気で「こっちはやられたからやり返しただけ」と思ってるし、でもお互い愛し合ってるとも思ってるから埒が明かない。
ジェフの方はもう、DVだけでなくストーカー気質というヤバめのオマケつき。
母親もとんでもねえ毒親で、子供の人生を管理・支配するのが親の務めとでも思ってそうな、典型的な虐待親。都合が悪くなると「家族なんだから~」とか言ってごまかすタイプ。
フィギュアスケートはトーニャ本人がやりたいと言ったからやらせてたみたいだけど、愛情というよりはただの投資かな。つーか親は授業料出してたら何でも口出して良いのか、子供に圧力かける権利があるのか…しかも親はフィギュアのプロでも何でもなく、ただの一般人。娘の初デートにもついてくる系。
ディズニーアニメ『ラプンツェル』の母親(魔女)が「ラプンツェルにあれだけ良い暮らしをさせてたんだから、愛情はあったはず」とか言う人たまに見かけるんですが…エ???愛情を金で量るのやばくない????
アイドル事務所がアイドルを売れてる間だけ大事にして、売れなくなったら捨てるのも愛情あると思ってるのかな…単に払った金以上のリターンがあるからですよね。それはただの投資。金を産まなくなったらただのゴミ。
一方は情があり、他方は利用してただけ、というパターンが一番嘆かわしいけど、結構多いんだろうな。相手だって多少は情があったはず!!って言い張る人結構いるよね。ただの駒です。
本作では、コーチの方がよっぽどトーニャの(人間としての)将来のことを考えていて、実の母親との温度差も際立っています。
母親は良い選手にすること=リターンを期待してるんですが、コーチは「良い大人になることも大事」といさめます。でも結局、トーニャは母親の支配通りに成長していく。
母親は、トーニャがリンクで他のスケーターと仲良くしようとすれば、「敵と喋るな!」と怒鳴る。自分の思い通りにならないと暴力を振るう。トリプルアクセルの技術ばかりを鼻にかけ、他の成長を怠った。トーニャは子供の頃、リンクでも学校でも友達がいなかった。だから自分の何が悪いのかがわからない。母の言う通り自分の技術は優れているはずで、それが評価されないのはおかしい、というのも母親の言い分。全部が母親の尺度で、大人になっても親の支配から逃れられていない。だからどれもこれもうまくいかないし、親や恋人に殴られた時は「自分が悪いと思っていた」のに、スケートがうまくいかないのは「自分のせいじゃない」とちぐはぐなことを言う。母親の言うことが絶対であり、母親に殴られるのは仕方ないが、母親が認めた技術を認めない審査員やコーチは許せない。
毒親の元で虐待されて育ったにも関わらず、「技術云々ではなく『完璧なアメリカの家族』を期待してるのに、貴方にはそれがない」と審査員に言われ、結局、自分のことを人としてきちんと見てくれていたコーチすらもカッとなってクビにしてしまう。
「産まれた時からずっと『ろくでもない』と言われ続けてきた」って、どんな気分なんだろう。
親が求めるのは技術と見返りだけで一人の人間として見てくれず、審査員はスケートの技術ではなく完璧な家族像を見せろと要求してくる。トーニャの心中は察するに余りある。
この母親が出てくるともう、めちゃくちゃ気分悪いシーン確定なんですが、演技力は馬鹿高い。本気でこのツラを嫌いになりそうな演技力。母親役のアリソン・ジャネイは、第90回アカデミー賞助演女優賞を受賞したそうです。そりゃ取るわ。
マーゴットも、初めての恋愛と思わせるぎこちない振る舞いがうまい。セバスチャンは何かおもろい(何でだよ)。序盤では二人して顔をムニムニしたりもじもじしたりしてるのが和む。完全にバカップル。で、何でこうなった?
小さい頃のトーニャ役は、当時注目の子役だったマッケナ・グレイス。『ギフテッド(2017)』で初めて見てから注目してるんですが、この子、何故か有名どころは「〇〇の幼少期」みたいな役ばかりで、どうしてもチョイ役になってしまうことが多くて…本作でもチョイ役ですが、納得の演技です。
いや、この作品よくこんなに演技派集めたな…かなり有名な事件らしいので、気合い入ってたのかもしれませんね。自分はオリンピック見たことないので、全然知らなかったんですが。
イカしたデブ野郎ショーンも、脇役ながら良い味出してます。もう本物のクソみたいな奴というかクソそのものです。
イヤーな話ばっかり書きましたが、ちょっとギャグというか、(鼻で)笑えるシーンもあったりして、そんなに胃が痛くなるほど重たい話でもないです。コメディチックな演出をあえて取り入れているので、ジャンルとしてはコメディ寄りなのかな。あとはドラマ?ドキュメンタリー?
ラストに当時のトーニャ本人のライブ映像が入っていますが、作中で言ってた「審査員に嫌われてる」ってのはトーニャの被害妄想かと思いきや、意外と的を射てるのかもと思いました。フィギュアの話を聞いてると、よく「妖精のような…」なんて言葉を聞きますが、妖精っぽくはない。ちょっとガサツというか…でも、個人的には好きです。観客受けしそうというのでしょうか、美しさより楽しそうで、子供が無邪気に駆け回っているような動きで、確かにお堅い審査員には受け入れ難かったんだろうなと。どこの国も同じで、「今までの常識通りじゃないと認めない!」という人はどこにでもいますしね。それがお偉いさんだと、潰される才能の数も段違いになっていく。
もっと色んな表現があって良いんじゃないかな。「芸術点」だというならなおさら。
ちなみに、最初に「大いに異論はあるだろうが」とある通り、本作ではトーニャが首謀者ではない、むしろ怪我をさせるなんて聞いてすらいなかったという話ですが、現実では、だいぶ経ってからナンシーに直接会って罪を認め謝罪したそう。ただ、TVでの公開謝罪だったそうなので、本当にやったから謝罪したのか、いつまでも後ろ指をさされ続けるのに耐えられず、やってなくても「和解した」アピールのために謝罪のポーズだけしたのか、今となってはわかりません。
このストーカーDV気質の夫なら、一時的な気分の高まりでトーニャの気を引くためにライバルを蹴落とす命令をしてもおかしくないし、本作の話の通り誇大妄想のショーンが勝手にやらかしたとしてもおかしくないし、もちろんトーニャが命令しててもおかしくはない。
スケートがすべてだった人生からスケートを奪われ、ボクサーへ華麗なる転身…とはいかず、まあ長くは続かなかったようですが、とにもかくにも親に愛されなかった分、「誰かに見ていてほしい」「愛されたい」しか心になかったのかなーと思うと切ない。スケートをやってれば、母親は愛してくれていなくても、見ていてはくれたもんな。
本作の評価は、アメリカでは「トーニャ目線に寄りすぎ」との批判も多かったそうだ。逆に、報道がトーニャ悪人説に寄りすぎてた可能性は?もう世間はトーニャを嫌いになってるから、事実なんかどうでも良いんだろうけども。
鏡の前で、笑顔の練習をしながら泣くトーニャの演技が素晴らしかった。
主演のマーゴットはプロデューサーも兼ねたとのことで、俳優・有名人として生きるマーゴットの世間に対する本音もシンクロしているのかなと思わせる台詞がちょくちょくあり、それも心に刺さる。
普段ぼんやりとした使われ方をする「世間」という言葉を「あんたたち」に変えて、見ている一人ひとりに考えてほしいという気持ちが伝わってくる。「あんたが私を苦しめてる」。
常々思うのは、何か事件が起きた時でも、世間のほとんどの人は事実を知りたいのではなく、自分を興奮させてくれる「ネタ」が欲しいだけだということ。
滑る世間はバカばかり。 トーニャ・ハーディングに幸あれ…。
実在のフィギュア・スケーター、トーニャ・ハーディングの半生を描くブラック・コメディ。
主人公トーニャ・ハーディングを演じるのは、『アバウト・タイム 愛おしい時間について』『スーサイド・スクワッド』のマーゴット・ロビー。なお、ロビーは製作にも名を連ねている。
トーニャの元夫、ジェフ・ギルーリーを演じるのは、『キャプテン・アメリカ』シリーズや『オデッセイ』のセバスチャン・スタン。
幼少期のトーニャを演じるのは、『gifted/ギフテッド』のマッケンナ・グレイス。
第90回 アカデミー賞において、トーニャの母親ラヴォナを演じたアリソン・ジャネイが助演女優賞を受賞!
第75回 ゴールデングローブ賞において、ジャネイが助演女優賞を受賞!
第23回 放送映画批評家協会賞において、ジャネイが助演女優賞を、ロビーがコメディ女優賞を受賞❗️
1994年に起こったフィギュア界の大スキャンダル、「ナンシー・ケリガン襲撃事件」の中心人物であるトーニャ・ハーディング。
この事件や、その後に行われたリレハンメルオリンピックでの靴紐の一件などは日本でも大々的に報道されたらしく、当時を知る世代にはお馴染みの人物のようだ。
自分は本作でトーニャやこの襲撃事件を知ったのだが、現実でこのような出来事が起こっていたことを知り、とても驚いた!😵
まさに事実は小説よりも奇なり。
毒親からの虐待をきっかけに、人生が大きく狂ってゆくトーニャ。その姿は非常に痛々しい。
シリアスな社会派ドラマとしても成立する内容だと思うが、それをブラック・コメディとして成り立たせた大胆さは見事!
DVの描写はかなり生々しくて、ドキッとしてしまうほど暴力的なんだけど、それでもどこかにお笑いの要素が含まれており、エグ味が上手い具合にデトックスされている。
笑っていいのかわからないのに、ついつい笑顔になってしまうという…😅
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のように、当時の流行歌に物語を語らせるミュージック演出。
登場キャラクターごとに異なる言い分を並列的に描き出す『羅生門』スタイル。
『ハウス・オブ・カード』のように、主人公が第四の壁を破り観客に語りかけてくるという仕掛け。
こういった尖った演出がうま〜くブレンドされており、非常に洒落た映画になっているのも良い。
他ではあまり観たことのない、この映画独特の演出技法が作品にフレッシュさを与えている。
「完璧なアメリカの家族」像をスケーターに求めるフィギュア界。トーニャの型破りな演技は、それにそぐわないとして低く評価されてしまう。
しかし、衝動的で攻撃的、豪快で荒々しく、スキャンダラスなトーニャの姿はある意味ではアメリカそのもの。
「完璧なアメリカ」を求める業界に対し、「完璧なアメリカ」の姿を提示して見せたトーニャが業界から追放されてしまったというのは、なんとも皮肉な物語であります。
事件の真相は藪の中。
確固たる唯一の真実は、トーニャを取り巻くバカどもがお粗末な暴力事件を起こし、彼女から永遠にスケートを取り上げてしまったということ。
あまりに悲惨な顛末で、コメディ作品じゃなかったらとても直視できそうにない…。
とりあえずあのデブは許せん💢
エンドロールに流れる当時の映像。
あの虚言癖のデブとか、鳥を肩に乗せている鬼婆とか、マジで映画のまんまでビビる💦すごい再現度。
トーニャやジェフの再現度も素晴らしい。
本作のマーゴット・ロビーは本当に頑張っているし素晴らしい!✨トーニャの15歳〜中年までを堂々と演じきっている。
…が、彼女はどう見たって15歳には見えないっ💦
ここだけは本作の中でどうしても気になってしまうポイントだったなぁ。
もちろん、この作品だってトーニャへの同情的な視点から作られた物語であってこれが事実ではない。
もしかしたら、本当にトーニャが襲撃に関わっていたのかも知れない訳だし。
とはいえ、やっぱりトーニャには同情せずにはいられない。これからの彼女の人生に幸多からんことを🙏
関わる人って大事
まだ産まれてなかったからトーニャのことも、この事件のことも知らなかったが日本でも大々的に報道されていたらしい。
登場人物がほぼ全員クズ。母が酷すぎる。終盤感動的なシーンがあったが、お金のためにやったことだったのか、、。
ジェフは本当に指示したのかしてないのか気になる。
母から虐待されていたはずなのに、彼氏も似たような人物を選んでしまう。こういう悪循環(?)に陥っている人沢山いる気がする。
ショーンが1番酷かったが、精神疾患なら見世物にするのではなく然るべき施設に行かせれば良いのに、、と思ってしまった。そもそもなんでジェフはこんな人と仲良かったの、、笑
追記
→ジェフは精神疾患の人の運転手の仕事しているほど精神病に理解のある人だったからつるんでいたのか!
終盤の裁判のシーンはちょっと泣けた。「私からスケートを取り上げるのは終身刑と同じ」
あと試合前にチークを塗りながら涙を流すシーンを見てマーゴット・ロビー最高だなと改めて感じた。
トーニャの性格的にスケートよりボクシングの方が断然お似合いだと思った。
栄光と影を生々しく描いた作品
フィギュアにはあまり興味がないが、今更ながら最近マーゴット・ロビーのファンになり、出演作を一通り網羅してみようと観てみた。
当時のこのスキャンダルについては、覚えているような…すっかり忘れていたような…
あまり恵まれない家庭環境下からフィギュアでオリンピック選手に選出というシンデレラストーリーでもありながら、それに至るまでの幼少期の母親や結婚後は夫からの罵声や暴力により奮起して実力を発揮するトーニャの姿。事件の真相どうこうと言うより、トーニャのマインドが興味深かった。
全体的にズーンと沈む内容だったが、ラストシーンのトーニャがボクシングに転身し相手の強烈なパンチでダウンしたものの勇敢に立ち上がりまたステップを踏んだシーンは、少し救われた気がした。
タイトルなし
トーニャ・ハーディング、ケリガン事件、うろ覚えだったけど、悪者は前者としか記憶になかった。映画を見る限り、事実?はこんなだったとわかり、トーニャが少し可哀想だし、被害者の気もする。マーゴット・ロビーが粗暴なアバズレっぽくトーニャを上手く演じている。スケーティングシーンもCG?不明だけど素晴らしかった。母親役アリソン・ジャネイの冷徹演技は凄い。しかし、エンドロール実のトーニャのスケーティングシーンは、本当に実力があったんだと、相当の緊張感の中でプレーしたんだと感じた。
真相は分からない、けどこれも誰かの人生の1つ
伝説を作ったスケーターの「事件」を描いた作品。
真相が分からないという事実を軸に
色んな人のインタビューを上手く組み合わせて
観る者をどんどん混乱させていく。
けどメディアがどう報道したとしても、
本人しか本当のことを知らないんだから、
所詮これも誰かの人生に過ぎなくて、
周りでどう言おうと浅はかな意見にしかならない。
映画によってトーニャに哀れみを感じてしまったとしたら、
その当時メディアに翻弄されていた人たちと
結局は同じことをしているのかもしれない。
音楽の使い方は非常にポップで、
画面の切り取り方も思い切っていて気持ちがいい。
凝った色使いとかセットとかしてないけど、
演技やファッション、小道具の細かさで
主人公が活躍した時代の世界を作り出している。
トーニャをアメリカの象徴とする台詞は核心をついていて
まさにその通りだと納得してしまう。
でもその台詞が率直すぎるから、きっと台詞以外に
作り手の意図が隠されていると勘ぐってしまう。
もう一度観たいと思う。
(本筋とずれるけれど、襲撃されたメアリーは結果五輪で2位をとっているのも、普通に考えて拍手喝采モノだと思ってる。精神力がすごい。)
面白かった!
子どもが寝てる間に少しずつ観る。めちゃ面白かった!ぐいぐいと進んでいくストーリーも映像も音楽も、役者さんの演技も、良かった〜。早く続きが観たい!と思う映画だった。トーニャ・ハーディングという選手を私は知らなかったので、こんなことがあったのか〜という風に観てた。真実や人格がどうだったにしろ、映画の中で(おそらく実際にも)トーニャが3回転を飛ぶ姿は美しく、胸をうつ。
超不運な女性
ハーディング寄りに描かれているがあくまでフィクションなので鵜呑みにするわけにはいかない。しかし多少の誇張はあるとはいえ、母親の件に関しては事実のようだ。
リレハンメル冬季五輪での靴ひも事件は、子供心に記憶に刻み込まれてる。まさかそのときは、彼女にこんな生い立ちがあったとは思いもしなかった。
それにしてもこの毒親。才能ある子供を自分が産んだことの誇らしさと子供に対しての妬みという相反したものも感じ、絶対に優しくなどしてやるものかという徹底的な攻撃性でトーニャを支配下に置こうとする。
彼女が自己弁護ばかりするようになってしまったのは間違いなくこの母親の影響。
誰からも援護してもらえない人間は、自分で自分を弁護するしかない。自分しか味方がいないのだから。
それに加え、彼女の周りもろくでもない人間しかいない。最初は優しかった夫も暴力を振るうようになり、虚言癖のある夫の友人も襲撃事件を引き起こしてしまう。
そういう人間ばかり引いてしまうのは彼女自身の性格ゆえでもあるが、そのように成長してしまったのは、やっぱり母親のせいだと思わざるをえない。
そして彼女のスケートスタイルが協会に認められなかったという、スポーツ界ではよくある悲劇も彼女の攻撃性に拍車をかける。採点競技によくみられる、いわゆる審査員の好みではないというやつだ。
どれだけジャンプを決めようと技術が優れていようと、選択する衣装や音楽が芸術的ではない(ダサい)と言われてしまうのだ。
アーティスティックスイミングなどでもしばしば起こる問題だが、例えば日本チームが和のスタイルを前面に押し出すと芸術点が低くなる傾向にある。発祥である西洋の伝統にそぐわないというのだろう。
トーニャのいう通り、それは個性を失くせ、と言われていることに等しい。
この映画はそういうスポーツ界の偏見も浮き彫りにしている。
トーニャがナンシー襲撃の首謀者なのかどうかは闇の中だが、彼女のスケートが好きだという強い思いだけは本物で、並大抵のものではない。あのスキャンダルの中、よく五輪の場に立てたと思う。この強靭な意思も母親譲りなのだと思うと、ちょっと複雑な思いもするのだが、子供時代にのびのびと育てられればきちんとメインストリームで成功できた人だと思うと、やはり可哀そうでならない。
「私のせいじゃない」
面白かった。事件を知らず、公開を知ったときに調べて興味深かった。期待を裏切らない作品だった。
トーニャ、この環境で育ったらそりゃ歪む。母親から暴力的に育てられただけでなく、父親に置いてかれて…。どれだけ泣き叫んでも、家を出て行く父親は自分を連れてってくれない。絶望…。
なんでこういう環境で育ってしまった者の近くには、DVはたらくような男性しか現れないんだろう。その友達も最悪だし。
当時を知らず、ケリガンにめちゃくちゃ同情するわけでもないから、トーニャも被害者だなーと思う。
スケートのシーンは説得力があるし、義兄弟・クリスの再登場の仕方も秀逸だし、スケート靴でタバコ消すシーンとか、色々と素晴らしかった。
トーニャハーディング&マーゴットロビー
トーニャハーディングの苦しさ、辛さ、苦労してきたことがしみじみ伝わってきます。
全てはトーニャの周りを取り巻く人達のせいで… とオレはそう思ってしまう程だった。
アメリカの現実や社会の厳しさも見えてきます。
母親はクレイジー、彼 夫もDV繰り返すアホだし…
もしトーニャがジェフというとんでもない彼 夫とかその関わりのある人達と最初から会わなければ、関わらなければ…、トーニャのフィギュアスケート人生は続いていたり、フィギュアスケートを再開する機会もあったかもしれない。
ラストはフィギュアスケート人生の幕を閉じてもなお、ボクサー 格闘技選手として他の人生を歩んでいくトーニャの立派な姿に感銘を受けました。
そして、トーニャ役のマーゴットロビーの熱演も本当に素晴らしかった!!
まるでフィギュアスケート選手のように滑ったり、トリプルアクセル、ジャンプなどするマーゴットロビーの努力も伝わってきました。
歪みが多すぎる環境とはこの話
母親役の女優がアカデミー賞受賞とのことで鑑賞。
確かにインパクト強く笑えるが前半中心の活躍のみで残念。
ちょっとした間違いが大きなスキャンダルに繋がる怖さ。
それ以上に登場人物全員がちょっと「どうよ?」って感じが充分漂うコメディ要素が強い実話物。
どうしたらあの頃の彼女を救えたか。
2000年位からのゆるいフィギュアファンです。
トーニャハーディングはもちろん知ってます。
ナンシーケリガン襲撃事件も知ってました。
リアルタイムではあんまり覚えてないんですけども、
トーニャがオリンピックで泣きながら途中で演技をやめて、
もう一度演技させてもらったシーンは子どもながらに記憶しています。
あの後ルールが変わって、順番後回しにするとかは認められなくなってると思います。
減点付だけど5分くらいの中断が認められるんだったような。
さて映画の話ですが、面白かったです。
マーゴットロビーがスタントなしで演じているように見えるフィギュアの演技パートがすごいなーと思いました。
トリプルアクセルとかどやって撮ったんだ?と興味しんしんになります。
後、衣装、メイクとかの再現ね、懐かしかった。
2回目のオリンピックでのどぎついチークが練りチークだったんだー!ってことに、へえーってなりました。
ナンシーケリガン襲撃事件へと繋がるトーニャの半生を、関係者のインタビューを元に再現する方式です。
よって描かれる事柄はトーニャの主観的な物語であり、元夫や、母の主観も混じります。元夫の友達?のショーンとか。
だから語り手は自分の都合の悪いことは語らないのです。そこがミソです。
その点を踏まえてみても、トーニャはありがちですけど悲しい生い立ちを背負っています。
どえらいポイズンマザーに、逃げたファーザー。
ポイズンマザーのポイズンがきつすぎてまともなお友達もいない。
寄ってきたのは似た者同士な夫。
殴っては愛を囁く典型的なdvヤローから離れたくても他にいなくて…
八方塞りです。
もちろんトーニャの素行もよくないけれどもね。
幼少期の境遇を少しマシにできたら、彼女はフィギュアスケートを奪われなくて済んだのでは?
その答えを探しながら見ましたが、わたしにはわからない。
たぶんちゃんとトーニャが自分を好きでいられたら、と思うけどあの境遇では難しかったと思う。
スケート協会の偏見も強いしね。
今でも差別的なジャッジは多少あるしね。
大好きなフィギュアスケートが、誰かを傷つけるのは見たくないわーとかも思いました。
映画には関係ないですが、
トーニャは今、たぶん幸せです。
母と離れ、自分を見つめ、愛する人を得て子供も設けた。
今でも嫌われてることを受け入れて生きてる。
ナンシーには申し訳ないけど、私は遠くでトーニャに頑張れって思ってる。
クマのぬいぐるみ
練習中トイレにも行かしてもらえず
。。。。。
「お漏らしだね」って
オイオイ
初っ端から最後まで
母親がパンチ効き過ぎてて
引いてしまった...
アリソンジャネイの迫力が凄かったです。
鳥に突かれながらのインタビューシーンも(笑)
マーゴットロビーって
綺麗な女優さんイメージが
強かったのですが
(スーサイドスクワットも頑張ってたけど美人の主張が強かった)
今回の役で
育ちの悪さと言うか品の無さが
とても良く出てました。
綺麗さが目立たず違和感が無かったと思います。
コーチにスケートシューズ⁇投げつけて
プゥ〜ってふてくされてるシーンの
トーニャ感が良かった‼︎
事件の犯人達が
とにかく頭が悪い
幼稚すぎてワロタ
旦那の友達ショーンが群を抜いてヤバかった(笑)
コイツのせいじゃん‼︎
馬鹿達のせいで
こんな事件に巻き込まれてしまった
ナンシーケリガンが
ただただ災難で
可哀想だと思う...
子供の頃のトーニャ役ギフテッドに出てた子だったんだ
一つ目にゃんこが可愛かった
DV旦那役がシビルウォーのバッキーとは
わからなかったぁ
全員クズ、だから可笑しくも悲しい
映画評論家・町山智浩氏と同じ感想になってしまいましたが、本当に『全員死刑』とそっくりでした。ジャンルを作るならば、実録底辺コメディとでも言えそうです。
まぁ、とにかく登場人物がコーチ除き全員クズ。クズたちがクズな事件を起こし、自業自得に破滅するという姿をギャグとして描いているのだな、と思いました。
例えば、子ども時代のトーニャは当然虐待されているのですが、その描写のトーンは明るく、ホワイトトラッシーなロックのBGMと相まって、深刻さを薄めています。背後にあるシリアスさを強調するよりも、問題を抱えた人々が起こす結果のバカバカしさに焦点を当てているように感じました。
だからと言って、背後にある貧困・教育レスの問題がかき消えるわけではなく、ギャグっぽくすることで多面的になっているように思えます。個人的には、シリアスに『社会問題でござい』と迫る映画よりも考えされされました。『全員死刑』もそうでしたが、クズな人々に悲しみを感じます。クズな人間になるにはみな理由があるわけですから。
暴力でしかコミュニケートできないこと(傷つけてハッと我に返るところを見ると本当は相手を傷つけたくないのだ)、安からな愛情を受けたことがないから攻撃したり支配したりしかできないこと、人生ドン詰まって能力もないから妄想に頼るしかないことetc…登場人物たちはみな可笑しくも悲しいです。
中でも強烈なインパクトを残したのは、毒親ラヴィナと妄想デブ男ショーン。あまりにキャラが立ち過ぎているので、過剰に表現しているのかと思いきや、エンディングの本人映像を見るとむしろ本物の方がヤバく、事実は小説よりも奇なりを地で行く展開に仰天。鑑賞後に調べたらショーンはすでに故人でした。あそこまで壊れていると健康面とかも維持できなそうだし、妙に納得してしまった。
とはいえ、俳優陣の好演が光る映画でもありました(あんなヤバヤバな連中を演じる訳だから、いつも以上に気合い入れる必要があったんだろうなと想像)。
マーゴット・ロビーは下品さを醸し出して美人感を封印できていたように思います。トーニャはヤング神取忍にしか見えなかった。フィギュアの演技も凄まじく、相当練習したんだろうな、と感動。説得力がハンパなかったです。
多面的な真実を伝える藪の中演出も良かったです。DVの話とかも、双方の視点があるからこそ浮かび上がる新しい真実もあるのかな、と感じました。
エンドロールでトーニャは子どもを産み育てているとのこと。正直、けっこう心配です。虐待していなければいいけどね…
大いに異論はあるだろうが・・・
ハリウッド映画の映像演出の一つである『第四の壁(Breaking The Fourth Wall)』(※グッドフェローズを代表とする)方式を取り入れた、自分が若い頃起こった事件を、当事者達をインタビューしながら再現フィルム化した作品。
1992年にフランスで行われたアルベールビル冬季オリンピック終了後の2年後、1994年に行われたノルウェーのリレハンメルオリンピックが催されるというイレギュラーで特殊なタイミングで起こったアメリカフィギュア界のこれ又奇怪でセンセーショナルな事件は、その事件性とワイドショー的面白さで、瞬く間に世界中を驚かせた、というより、好奇の対象としてこの素材を愉しませた。あの時は只、メディアの垂れ流す情報のみが全てであり、今のネット情報などないから、(否、あったとしてももっと憶測ばかりだろうが・・・)、その真偽を確かめぬ儘、目に見える部分の事実(ライバルの足を負傷させたということだけ)からの推測とその先の決めつけで、幕が閉じた。オマケで、その後のトーニャハーディングは、ボクシングに転向という面白さも提供したのだが、勿論その部分も今作は描いている。
映画と言うよりもテレビ番組の演出に近い今作は、それでもドキュメンタリー要素、そしてコミック要素、歴史解説要素、そしてそのベースにある、所謂『ホワイトトラッシュ』問題に代表する貧困と養育問題、そして経済階級問題という社会問題を如実にあぶり出すテーマとなっている、と、まぁそうなのだが、色々な切り口を見せる、まるで万華鏡のような作りなのである。その証拠に、今作は、とにかくパンチラインというか、押しの強いキーワードと演技、カットが目白押しなのである。『アメリカ人そのもの』、『リンク内での喫煙や、煙草をブレードで消す』、『登場人物全てが救いようのない馬鹿ばかり』、『ボクシングでの殴られて体が回転するシーンと、トリプルアクセルのシーンとのスイッチのシンクロ』、『劇伴のアメリカンロック』等々、これ以上に鑑賞中もっともっと沢山の強いメッセージが叩きつけられ、実際全て憶えることができない。いや、老化の著しく進んだ我が脳のせいではあるが(苦笑
ストーリー展開も、これもハリウッドらしいスピード感で、しかも、もし今事件再現が事実ならば、『小説より奇なり』の如く、やっと溶け掛かった親子の邂逅のシーンを、無残にもぶち壊す母親の裏切り(ワイドショーに金を掴まされたのか、盗聴用録音の発覚)というオチなど、却って感情移入を排する『呆け』のみをぶつけられる、『これでもくらいやがれ』的攻撃に打ちのめされるのである。
その真理は、『真実なんて嘘っぱち』という言葉が全て。関係者全員の記憶は、自分に都合の良い顛末に常に書き換えられる。そりゃそうだ、人間はビデオレコーダー等では決してないのだから。言った言わないの世界は、常に目の前に淀んでいる。それを確かめる術は、今の段階はどこにもない。ドラえもんのひみつ道具『スパイ衛星』が義務化される、ディストピアが訪れる迄は・・・。
まぁ、そんな高尚な作品ではなく、オールドムービーのマルクス兄弟みたいなスラップスティックを愉しむという感じに落とし込めば、やるせない感情も腑に落ちるのではないだろうか。だって、負けん気が強くて、才能があって、でも親に愛されて無くて、貧乏で、でも美人で、しかし人を見る目がない、そして愛情欲求の強い、そんなキャラクターは、どう救えるのか、神様だって分からないじゃないか。
リアルな楽しさ
裏切られ続ける人生。皮肉なことはトーニャがうそをついていないのに一番不幸になること。
母が夫に逃げられる時「裏切りもの!」と叫ぶ、トーニャも夫に裏切られ、同じ歩みを思わせる。みんなトーニャを口では愛してると言いながら裏切る。
「私にはスケートしかない」ラストにそう言った姿には心が傷んだ。
ヘビメタが好きなトーニャに合わせたBGMもかっこ良かった。
最後、息子と暮らしているという情報があったが、心から信頼出来る家庭を築いたということか?そうであって欲しい。
トリプルアクセル
見応えがありました。
家庭環境やアメリカという国に翻弄されながらも
強く生きていくトーニャの半生。
裕福だったら、妖精の演技だったら
もっと評価されたはず…との描写があったけど
それではトーニャの個性は違ったものになっていた
だろうし、トリプルアクセルも跳べたかどうか
分からないと思います。
正直、「私のせいじゃない」を繰り返すトーニャに
肩入れできないと感じる場面もありました。
理不尽なことばかりだったのは分かりますが…。
それでも、2回目のオリンピック後の裁判で
「スケートを奪わないで」と涙を流すシーンは
胸を打たれました。
エンドロールで流れた実際の映像を見て、
映画の再現率の高さに驚いた。
特に、お母さんとショーンはそっくり。
トーニャの試合の映像は、
迫力あるジャンプがすごかった!
そして、小柄で愛らしい方だと思いました。
襲撃事件については、
関わった人の発言が食い違っているので
なにが本当か分かりません。
印象に残る作品でした。
興味本位で観てもいい。破天荒なトーニャが愛おしくなる
もちろん世代にもよるのだが、"ハーディング"という名前で思い出すのは、"ナンシー・ケリガン襲撃事件"。そして本番のリレハンメル五輪で、審査員席に片足を乗せて泣きながら抗議する姿…。
世界が注目するオリンピックで、とてつもなくスキャンダラスな出来事を起こしたカノジョに、ニュースメディアはもちろん、日本のワイドショーも多くの時間を割いていた。30代以下の世代には、"何だそれは?"と思うだろうね。
本作は、その事件の真相が明らかになる。
人によってはハーディングが、"ナンシー・ケリガン襲撃事件"の<首謀者>と勘違いしているかもしれない。もしくは、ダンナが襲撃したと勘違いしているかもしれない。"どれも間違い"。
観ればわかるのだが、真相はとんでもないバカバカしい話なのだ。
貧しい家庭に育ったトーニャは、練習のためにアイスリンクを貸し切れる裕福な家庭に有利なフィギュアスケートの世界で、まさしく"労働者階級の星"なのである。自分の才能と努力だけで、アメリカ人女子フィギュア選手で初めてトリプルアクセルに成功。2度の冬季五輪に出場している。
この映画を観終わると、ハチャメチャな言動でお騒がせな、バカ娘トーニャ・ハーディングに呆れるばかりなのだが、それと同時に少なからずカノジョに同情したり、共感したり、感動したりさせられる。良くも悪くも魅力的な人間である。
そんなトーニャを演じるのは、マーゴット・ロビー。「スーサイド・スクワッド」(2016)で、女性の悪役キャラ"ハーレイ・クイン"を演じて大人気になった。そのまんまトーニャ・ハーディングの破天荒ぶりと重なって見えるので、なんとも…(笑)。
また、トーニャのために働き続け、フィギュアスケートに専念させた母親ラヴォナは、トーニャ以上に破天荒な女性だ。そのラヴォナ役のアリソン・ジャネイが、第90回アカデミー賞の助演女優賞を受賞している。
興味本位で観てもいい。そのほうが裏切られるので、むしろいいかもしれない。トーニャが愛おしくなる。
(2018/5/14 /TOHOシネマズシャンテ/シネスコ/字幕:中沢志乃)
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