触手のレビュー・感想・評価
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タイトルとイメージが違う
不思議な世界観。思ったより触手はでてこない。「悪いことしたらダメだよ」ってメッセージかな。もう一度観たら発見があるかもしれないが、おそらく観ない。
映像:3
音楽:1
脚本:1
演技:2
難解ドラマ
日本のアダルト業界に「触手モノ」という表現があるが、邦題はそれをイメージして配給元が付けたのだろうか。近年日活ロマンポルノ等が再び熱を帯びている事もあってのことか。
本作には人に至極の快楽をもたらす怪物が登場するのだが、話の流れ的にエイリアンだろう。全生物の根源という存在の様で、地球に飛来した際に出来たクレーターで様々な動物が交尾を始めるという描写がある。個人的にこのシーンが最も嫌だった。人間側では主に女性がその快楽に溺れるという内容なのだが、なぜ女性なのかや、人により反応に差があるだとか、細かなところは描かれていない。正体や目的を謎にする事で不気味さが際立つものだが、描いて欲しい所は描かれず、ドラマパートがかなり長尺であり、説明が長すぎるように感じてしまう。また、ヒロイン含めそれに入れ込んでしまう女性らは家庭等で何らかのハンデを負っている。孤独だったり、DVだったり、社会的地位において明らかに不利な状況に置かれているのである。旦那が浮気をするのはどこの国でもある様な事かも知れないが、その相手が自分の弟というのは衝撃過ぎた。ゲイを否定する気は無いが、自分の弟と考えると身震いしてしまう。ちなみに男性はどうも「それ」には受け入れられにくいようで、命を落としてしまうケースもある様だ。だがそれは女性も同じであり、「それ」に飽きられてしまうともう用済みの様にポイッと捨てるのである。・・・失礼なエイリアンだと思うが、人間の欲という物に対する風刺なのか、ハマりすぎてしまうと必ず怪我を負う羽目になるのだ。だが薬物と同じで皆それでも「それ」に魅入られてしまうのである。どのタイミングで快楽から攻撃の対象になるのかや、男性でもしばらくはその快楽を楽しめる一方、一度で命を落とす人間もいるのかは良く分からない。本作は難解アート系作品の為、考えるより感じろという事だろう。エイリアンの気味悪さとエロさは他に類を見ないものであるが、内容がアート過ぎるものであり、ややついて行けなかったのが正直な感想だ。不思議な体験をしたい時にはオススメである。
時代を経た淫獣
80年代に日本で触手というエロジャンルが発明された。輸出されるとTentacleとなって浸透し、hentaiカテゴリの一枠を確立した。
触手はもともと宇宙企画や前田俊夫のアニメだったが、AVへ移行すると実写版になった。
ただし、実写になってしまうと、とうぜんハリボテ感は拭えない。
エドウッドに、ベラルゴシ(の代役)が池でぬいぐるみの大ダコと格闘する映画があるが、触手の実写版とは、それと五十歩百歩であった。
この映画は、触手の実写版と解釈するなら、本気なクオリティを持った、はじめての作品だった。造形も動きもリアルで、個人的には30年越しで、淫獣学園の溜飲が下がった。
ただし、エロで釣ろうとして「触手」と邦題されているが、元来その意図を持っていない映画である。
むろん性的魅力があるのは間違いないが、この映画の主目的をかんがみると、触手はむしろ副産物だ。
原題はLa región salvajeで「野生の地域」と自動翻訳された。
英題はThe Untamedとなっていて、飼い慣らされていない獣──の感じだった。
となると触手とつけてしまった配給元の暴挙はいつものことであるにしても、じっさいに触手を想像していた自分が、にわかに恥ずかしくなってくるのである。
映画の主題は、未知の暗獣が、快楽と同時に破壊をもたらす──ということである。それは哲学的に昇華されるわけではないが、有機的な主題になり得ている。
いわば、全身を委ねることのできる架台を備えた可変全自動のディルドが、殺人をもおかすのであって、それに委ねた者が、快楽を与えられるか、殺されるかは、獣の意思次第である──と映画は言っている。
するとこの製作者は、およそリヨン伝説フレアを参考にしているはずもないのであって、つまり──そういう「たぐり方」をしていった自分が、にわかに恥ずかしくなってくる──わけである。
ただdefenseすると、触手と名付けた配給元の思考回路も、同格である。わざわざポルノに貶められて配給された気の毒な「邦題の犠牲」映画のひとつ──になった。
映画は過大に言えば哭声やジョヴォーダンのような雰囲気すら持っている。日常と夫婦の倦怠がリアルに描写されているし、佳景をゆっくりパンするスピード感で、長い触手もゆっくりパンする──手練れの撮影だった。
はっきりとは落とさないが、触手の獣をカリカチュアとし、社会の底辺においては、ひたすらおまんこするか死ぬかしかない──と映画は結論している。個人的にはそう感じた。
地球の女に飽きたところよ!うっそー!
ストレート、バイセクシャル、アブノーマル。日本のエロ漫画は英語ではhentai manga。そうした日本のhentai漫画には異星人との性描写もよく見かけるが、この映画はそこからヒントを得ているのか?口の中にタコの足が入ってくるのが強烈だ・・・
もっとすごいのがキャラの相関図。アンヘルとアレハンドラの夫婦が基本となり、夫アンヘルは妻アレハンドラの実弟とホモセクシャルな関係。SFエロティックスリラーなどと謳ってはいるけど、SFアブノーマル作品と言ってもいいような気がする。
森の奥の老夫婦ヴェガとマルタも異様な雰囲気。しっかりソーラーパネルも備え付けてある小屋はおんぼろだが、科学者でもあり、未知の生物を研究している気配もあるし、この二人もやっぱり変態なのだろう。タコ型エイリアンを使い、女性を中心に快楽を与え、想像ではあるが、覗き見でもしてたんじゃないのか?さらに隕石によって出来たクレーターではアニマルセックスの聖地みたいになっていて、こんな描写にわざわざCGを使うなんてのはやっぱり作者も変態なのだろう。
グロさばかりではなく、人間ドラマもしっかり描いてるところに好感が持てるのですが、「飽きたら殺す」というタコと同様、人間世界にもドロドロした家族関係があることを皮肉っています。そして、やっぱり性の達人はタコ!ヴェロニカはタコに飽きられちゃったみたいだけど、もう人間の男じゃ感じません!そして最後には屍の山・・・性の貪欲さのツケが死生観を無くすってところにあるのかもしれません。
ホラーでもSFでもない難解アート系か?
難解な映画。
パンフレットなどで解説をしっかり読みたくなる映画。
人寄せのためなのか。この「触手」という邦題、いかがなものか。そういう自分もジャケットからして、謎のモンスターがうごめくホラー映画だと思って観たのですが、これはB級のSFホラーではないでしょう。エンターテイメントとは無縁の映画です。
女主人公が2人いるようにも思える。冒頭、触手と交わっているヴェロニカ。一組の夫婦の妻アレハンドラ。夫は実弟ファビアンとの情事にふけり、アレハンドラは満たされずストレスを抱えて生活している。医師であるファビアンは、腹部を噛まれたヴェロニカを診察したことにより、2人は親しくなる。互いが抱えている問題を語り合う仲になる。ファビアンは「この世で一番美しい」というものをヴェロニカから教えてもらい、森の奥へ進んで行くが・・・、
という人間関係のドラマが静かな展開で続いていきます。
触手はほんの数分しか姿を現さないのですが、全体の映像は結構、ちゃんと作り込んでいるようで自然の描写は美しく、森に充満する霧の中にヴェロニカが入っていくシーンなど、不穏な空気が漂っていて、台詞ではなくて、映像で不気味な感じを見せてきます。
話の流れとしては、ヴェロニカが触手の次の生け贄としてファビアンを差し出したり、アレハンドラが傷を負う夫を触手の小屋へ連れて行ったり、ほぼ植物状態のファビアンの生命維持装置をアレハンドラが勝手に止めてしまったりと、人を死に追いやっているので、普通の倫理観では観ることのできないストーリーです。
結局、触手は何を意味しているのか?
悪なのか神なのか。快楽だけを与えて、欲に溺れた人間を破滅に向かわす、恐ろしい何か。
人間が持つ、やめられない「依存」がテーマなのか。
後半のアレハンドラとヴェロニカが触手について語り合うところが怖い
「あれが弟をやったんでしょ?」
「残念だけど。やりすぎることがあるの」
「ウソをついたのね。でもそれも分かるわ。
あまりの快感に怒りも憎しみも消えてしまうの」
隕石が墜落したクレーターのスポットに、動物たちが集まり、交尾をしている光景は異様ながらも見入ってしまいます。
触手はよく出来たビジュアルで、女性とからまるシーンは「これが快楽か」というほど絵になっていました。
こんな夫とは別れなさい
二人の子供を抱え、暴力夫に耐える主人公だったが、夫が浮気、なんと相手は妻の弟というから驚き。
知り合った女に連れていかれた森の中の家には、奇妙な触手を持つモンスターがいた。
エロティックだけど気色も悪い。
日本のエロ漫画重要ジャンル
いわゆる『触手モノ』と呼ばれるジャンルであるが、古くは葛飾北斎の作品でもあるように蛸の足が女体をまさぐるという性戯は、古今東西、どの国にもあるようで、今作品はメキシコ映画である。内容は、宇宙から隕石に乗って墜ちてきた得体の知らない生物が、人間と交わることで生き存える。そして交わった人間はその得も言われぬ快楽に、幸福感を与えられるというコンセプトである。但し、ストーリーのキーは、その生物は交わる人間に飽きるようで、飽きたらその人間に攻撃を加えること。飽きられたとしても、その快感を忘れられない人間は、もれなくその生物を関係を持とうとして返り討ちに合い、殺される運命になる。それがベースに,人間の嫉妬や愛情が如実に影響を及ぼしていくところが肉付けであろうか。単純な話であるし、男女だけでなく、男同士の情愛も話の一つに加わっているので複雑怪奇ではあるが、自分としてはもっとその生物との絡みのシーンが少なすぎる事にいささか残念な心持ちである。隕石が墜ちた場所のくぼみに、動物たちがおもいおもいに交尾を繰り返すシーンはかなり面白かったアイデアだったのだが。
あの悦楽を知ってしまったら二度とは元に戻れない、人間とは欲深き動物である。
紙一重の抱擁
人々を快楽の虜にするが油断すると死をもたらす「それ」にハマった女達の話。
冒頭で触手の先っぽが快楽と大怪我をもたらす様子をみせられて、全体像を映すシーンはあるものの、それ以上謎めいた正体に迫る描写はなく「それ」有りきで話が進む。
主人公の旦那に対する苦悩、旦那の不快な人間性、兄の弱さ、友人女性の寂しさと虚しさ等々、苦悩とその隣り合わせにある快楽やグロさをみせるストーリーだけど、説明過剰だったり関係ない描写が多かったりとテンポが悪くて飽きてくる。
みせたいところや表現は悪くないけれど、98分がかなり長くかんじたし、生々しさやグロさが物足りなく感じた。
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