「【砂上の楼閣に住む、壊れたコミュニケーション不全家族の姿を辛辣に描く。ミヒャエル・ハネケ監督の”イヤナ気分になる”テイストが、やや復活した作品。】」ハッピーエンド NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【砂上の楼閣に住む、壊れたコミュニケーション不全家族の姿を辛辣に描く。ミヒャエル・ハネケ監督の”イヤナ気分になる”テイストが、やや復活した作品。】
ー ロラン家は、瀟洒な邸宅に3世帯が暮らす、一見何の問題もない”家族”である。
が、その実態は・・。ー
◆感想<内容に触れています。>
・ロラン家の⻑、ジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、建築家業を退き、娘アンヌ(イザベル・ユペール)に全てを任せている”フリ”をしている。
アンヌはやり手だが、取引先銀⾏の顧問弁護⼠ローレンス(トビー・ジョーンズ)を恋⼈にしている。
・アンヌの息⼦ピエール(フランツ・ロゴフスキ)は専務に就くが、やる気がない。移民問題には、問題意識アリ。
・ジョルジュの息子トマ(マチュー・カソヴィッツ)は家業を継がず、医師として働き、先妻との間に生れた娘エヴ(ファンティーヌ・アルドゥアン)と再婚した若い妻アナイス(ローラ・ファーリンデン)との間に幼い息子ポールがいる。
だが、トマは妻子が居ながらも、恋人と卑猥なチャットをする日々・・。
そんな父の姿を見て、エヴは呟く・・。”パパが遠い”と・・。
ー とまあ、ここまでで、ロラン家が、一家の態を成していない事が、良く分かる。
そして、愚かしき父親の行為(妻との離婚、チャット・・)で傷ついているエヴは、自殺を図る。ー
◼️ 一家の長、ジョルジュは、そんな愚かな家族の姿と、つい最近存在を知った孫娘エヴの、哀しき悩みに気付き、長年誰にも話してこなかった”秘密”を、”自分と同じ匂いのする”エヴに告げる・・。
エヴも同じく”秘密”を告げる。そして・・。
<前作、『愛、アムール』で、まさかの老夫婦の愛を真摯に描いたミヒャエル・ハネケ監督。(感動したけどね。)
今作では、御大の、本来の持ち味である”いやーな感じのする、後味の悪い作品”が戻って来た・・。>