「更に多重構造になった不穏」ハッピーエンド れーいさんの映画レビュー(感想・評価)
更に多重構造になった不穏
ハネケさんの映画がハッピーエンドだなんてそんなー。
って感じで観まして、まーそーだよね、ハネケさんだもんね!って感じで観終わった訳なんですが、思った事もちょこちょこあったんで、書きます。
・ハネケ作品特有の不穏さが、現代と交ざって出来た構造感。
これまでの作品にあった、登場人物達の表情からは解らない深層心理部分ですが、今回はプラスでインターネット上のキャラクターまで重なり、キャラクターの心理を追うのが更に複雑になりましたね。
社会や環境に合わせて繕った表の顔と、内面で何を考えているか解らない、静かな恐怖が監督の特徴ですが、SNSなどインターネット上での人物像がまた別の「顔」として使われた事により、更に多角的な構造の映画となりました。
それにより、今作を観た人達は一人ひとり自身の個性に富んだ感想を得られるようになったように感じます。すげぇやハネケ!
その辺の多重構造はたぶんハネケさんの狙ったポイントなんだと思います。
と、言うのも今回の作品のパーツ一つひとつが、とてもイビツな多重構造なものから出来上がってるからって訳です。
・いろんなイビツな多重構造。
まずは、さっきから書いている、表面、内面、SNSの三点構造。
元々ハネケ作品自体が、表面と内面をそれぞれ読みといて、ようやく理解したよーな、してないよーな……。って作風なんで、二重構造的な作風ではあったんですが、SNS上のキャラクター性まで盛り込む感じ、これSNSとか署名掲示板とかやってない世代には理解出来ない人格みたいな部分だと思います。そんなものまで理解しちゃうなんて、やっぱ凄いねハネケ!!
それから、家族の部分。
複数の世帯が暮らすお屋敷と、それぞれの家庭事情がとてもイビツに描かれています。
家。
主人公の女の子が住んでた家が二つの家を無理矢理重ねて作った的な台詞があります。隠喩ってヤツですね。
ぶっちゃけいらないかなーとも思った部分なんですが、あの不親切で有名な監督が、もしかしたらとても親切なヒントとして言葉として入れてくれたのかもしれないですね!丸くなったねハネケ!!!
カレーの街。
なんだか移民で大変みたい!大変だねハネケ!!!!
・んでもって感想。
感想としては、映像の色彩も爽やかで台詞も多め、感情をあえて逆撫でするいつもの騒音も若干少なめ、上で書いた三重構造のおかけでなのか解らないが三点から人物像を見れるので、今までよりも断然観やすいハネケ作品になったかもしんないです。
そこは良いとことして、ハネケ作品としてのズッシリした気持ち悪さは今回すこし薄味だったかもですね。
白いリボンのような強烈さはなかったです。
今回とても観やすかったからか、はたまた淘汰された上での選ばれしハネケストしかもはや観ていないのか、パッとレビュー見た感じいつもより星が多い気がする。考えすぎか??
そんな感じです!!