「鑑賞記録」名探偵コナン ゼロの執行人 ハッピー・ホーガンさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞記録
全世界で記録的ヒットとなっているらしいアベンジャーズ(未見)。そんな彼らも「ボクの国、ニッポン」では天下を取れないようだ。
毎年おかしいくらいヒットする劇場版コナン。今回の盛り上がり方はこれまでとは一線を画すものとなっているように感じる。それもこれも、全部安室ってやつの仕業なのだと思う。
劇場版22作にて初のメインゲストキャラとなった安室透。『純黒の悪夢』では「赤井秀一にムキになって食らいつく青さ全開の青年」という印象だった彼が、本作では「目的のためなら手段を選ばないオトナの男」となって物語をぐんぐん引っ張っている。冷酷さとミステリアスさ、そして何より男の色気を惜しげもなく前面に出してきている今回の安室さん。古谷徹の本気を、劇場で堪能してほしい。
安室という男はCV.がレジェンド声優ならば、キャラソン(という名の主題歌)もスペシャルだ。福山雅治が朗々と歌い上げる『零-ZERO-』は、本編及び安室のキャラクター性とのシンクロ率がアテ書きとかいうレベルじゃない高い。近年の映画主題歌の中でも随一なのではなかろうか。
ただ、この作品を「安室のファンムービー」と一蹴してしまうのは待ってほしい。『相棒』の脚本家でもある櫻井武晴氏によるドラマは、組織に生きる人間の生きざまとテロ阻止のスペクタクルを両立させた娯楽作となっている。邦画実写では作れない一大アクションエンタテイメントも、アニメならできるんだということを改めて実感させられた。
去年の『から紅の恋歌』と見比べてみると、同一の世界観でこんなにも振り幅が大きいものかと感心させられた。これも多種多様なキャラクターによって切り拓かれたものなのだと思う。安室透の登場によってコナンの世界はまたしても広がってしまった。本当に決着着ける気ありますか?←