「控えめに言って最高。」ファースト・マン 塚Pさんの映画レビュー(感想・評価)
控えめに言って最高。
「ファースト・マン」鑑賞。
この5年くらい自分のフェイバリットな映画監督は変わらなく3人で固定されているのですが、その中でも一番好きな監督であるデイミアン・チャゼルの監督最新作です(残りふたりは、イニャリトゥとヴィルヌーヴ)。
誰でも知っている人物、地球上で初めて月面に降り立った人類、アポロ11号船長ニール・アームストロングの伝記映画です。
「ラ・ラ・ランド」でもチャゼル監督と名コンビだったライアン・ゴズリングが主演。
「ガイ&マデリーン」、「ウィップラッシユ(セッション)」、「ラ・ラ・ランド」は脚本・監督作品だったので、今回は監督オンリーの作品ということで物足りなさはありますが、アームストロング船長の伝記で原作ありきなので、そこは致し方ない点だと納得しました。
先ず、観終わっての感想ですが、未知の領域に踏み込むパイオニアが抱える怖さと、達成するための精神的な強さ、揺るぎなさが本当にストレートに感じられる演出になっていました。
主人公アームストロング船長の視点からカメラが撮られていますが、ゴズリングの目線の演技、表情の演技があまりにも迫真すぎて宇宙船や広大な宇宙の描写が非常にリアルな部分も相成り、自分が本当にアポロ11号に乗り込んで月面着陸ミッションを遂行している錯覚に陥ります。
本当に、ゴズリングの表情の演技は上手い。
宇宙ミッションに携わっているシーンもそうですが、家族とのドラマシーン、父親としての妻や子どもたちに対峙する態度にも現実にありそうな父親の戸惑いや葛藤が感じられました。
(実話なのでネタバレにはならないですが)物語冒頭で娘がなくなるシーンがあるのですが、納棺時の目線、式が終わりやっと一人になったときの孤独と悲しみからの嗚咽、、本当にこの一連のシークエンスだけで、彼の演技力の高さが分かります。
物語の結末はNHKの大河ドラマと同じく、皆が知っているラストに向かって進んでいくのですが、それでもどうなってしまうんだろう?無事にミッションは遂行されるのだろうか?と思ってしまう。
それは前述の通りゴズリングの高い演技力と、主人公目線でひたすらリアルに見せていく(魅せていく)チャゼル監督の演出の妙。
やっぱり、彼はシナリオを書いていない映画だとしても、私の中で一番好きな監督なんだなぁと実感しました。
まさにA評価。
今年に映画館で観た6本の中でもイチオシ。
ただいま公開中の映画では一番のオススメです。