「花粉が飛び始める前に見たほうがいいと思います」ファースト・マン 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
花粉が飛び始める前に見たほうがいいと思います
『月面の再現』から始まった〝リアル〟の追求が、映画製作の途上で半ば目的化していったのではないだろうか?
家族との最後になるかもしれない時間を意味のない荷造りで逃避してしまう人としての弱さ、国威発揚を負わされる責任と様々な立場からの否定的な意見(ただのやっかみだってある)の狭間で抱く複雑な心情、パイオニアとしての自負と純粋な夢追い人としての情熱、不運な先達や同僚への思い。
そんなこんなを全て脚本に落とそうとするのは無理があるし、セリフにしたら陳腐になる場合もある。
だから、リアルな再現が月面に留まらず、ロケットに乗り込む時のエレベーター視点、観客が自ら体験しているような燃料噴射の轟音と月面での静寂、まるで自分が詰められているかのような妻のアップ顔……等々全編にわたり細部にまでリアルが行き届いたのだと思う。
結果として、感情を揺さぶるようなドラマ性が削ぎ落とされ、人によってはやや退屈な印象の作品となったといえる。
では監督の意図が空回りしたのか、と言えばそんなことはなく、かなりのレベルで成功したと思う。
終盤の月面に降り立つシーンでは、IMAXの劇場内から音を伝える空気を抜いたのではないか、と息苦しさを覚えるほど観客全員がまるで示し合わせたかのように息を潜めて、物音ひとつ立ててはいけないほどの緊張感を強いられながら(膝上に置いたダウンジャケットの衣擦れの音すら気になる程の静けさでした)画面に見入っていたのですから。
※2/9 東宝シネマズ日比谷 12:00の回で鑑賞された皆様、ありがとうございました。息を潜める共同作業の一員になれて、とても嬉しかったです。感謝申し上げます。
鼻水をすすったり、くしゃみをするのが憚られる映画ですので、花粉症の方は早目に鑑賞することをお勧めします^_^
サメちゃんさん、コメントありがとうございます。
お気持ち物凄くお察し致します。
映画鑑賞のマナーというのはひとりの努力ではなんともできないので、こういう場で皆様の共通理解が進むようになることを祈るばかりです。
素晴らしいレビューをありがとうございます。
私の場合、隣のおじさんが常に落ち着きなく、靴下を脱いだり履いたり、ガムは噛むは、持参した缶コーヒーを開けるは、一番のシーンで大あくびするわで台無しでした。。マナーがなっている方たちと私も鑑賞したかったです。。
最高の映画だっただけにマナーが悪い人1人のおかげでとてもストレスが溜まってしまったので、おもわず書き込んでしまいました、、
失礼しました。