「顔芸すごい」ファースト・マン コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
顔芸すごい
実にいい映画。
名作と言えます。
初めて月面に辿りついた、ニール・アームストロングを描いた作品。
(「黒人ミュージシャンとして初めて月で演奏した人・サッチモ」って話じゃないから)
ニールの視点で家族や同僚への想いや、ミッションへの義務感と恐怖との間で苦しむ心の葛藤を中心に描写していました。
ストイックで真面目に仕事へ打ち込む「プロ」と、子どもに心を寄せる「父親」、二つの姿がどちらもニール。
ただし、その映画テーマゆえ、宣伝で見せていた宇宙開発的な描写が少ない。
マーキュリーもアポロも、開発シーンはほとんどなく、打ち上げなどだけの最小限のシーンしかない。
象徴的なのは、打ち上げより難しく、技術的なドラマ満載なはずの、各ミッションにおける帰路~着陸のシークエンスがないですのよ。
そこに期待して行っちゃうと、肩透かしを食らうはず。
小説で言えば一人称の映画ゆえ、ニールの視線に同化できれば、月へ向かう男の感情や思考をトレスできるといった指向であり、実体験のような錯覚を覚えるかもしれません。
ただ、心を描くのに、目や表情を追うので、ニール(ライアン・ゴズリング)の顔のアップばかりって印象を受けました。
いや、奥さんや同僚、政治家も顔のアップだらけ。
生活を圧迫して税金を戦争と宇宙開発に回す政府へのデモやってる、黒人すらアップ。
是非ともこの映画の前後どちらかで『七つの会議』を連続で観て、「日米顔アップ顔芸大会」を味わっていただきたい(七つ~はコメディですけど)。