「ニール」ファースト・マン aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
ニール
デミアン・チャゼル監督作品、現在までハズレなし。
「セッション」「ラ・ラ・ランド」と違って、今度は現実の人物が題材ということで、少しチャレンジではないかと危惧していたが、不安払拭。
英雄として、半ば神格化されているアームストロング船長を、ひとりの人間ニールとして、夫、父親として描いていて、とても好感が持てた。
1960年代の事だけに、今からすればポンコツと言うべきロケットで宇宙を目指すわけだが、ロケット噴射というより爆発、金属の軋む音がすごい船内、メーターはほとんどアナログメーターなど、よくこれで…という設備が臨場感があって感激した。
設備テストの事故などで、次々と仲間の命が失われる中、必死に不安と戦う心情が、観ているこちらに浸み込んで来る。家族を前にしながら、死と向き合わなければならない仕事というのは、とてもハードだったろうとよくわかる。偉業は成し遂げたのは確かだが、決してスーパーマンではなく、悩んだり迷ったりウンザリしながら、準備を淡々と進めていったのだ。
ヒーローを描いたり、愛国心を煽る描写は一切なく、月面に立っても国旗を立てるシーンは無く、家族に思いを馳せるシーンが描かれる。このメッセージが、逆に熱く感じる。
決して派手な映画ではないが、ものすごく清々しく、心に浸透してくる内容で、共感が持てた。