劇場公開日 2018年12月14日

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「本当のひねくれ者は…」グリンチ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5本当のひねくれ者は…

2019年5月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

幸せ

かつてジム・キャリー主演で映画化された事もある、クリスマスが大っ嫌いなひねくれ者、グリンチ。
アメリカ人なら子供の頃から慣れ親しんでいるドクター・スースの絵本の国民的キャラクターを、イルミネーション・スタジオがアニメ映画化。
こりゃ最強コラボ!絶対面白い!
…と、思っていたら、

話の展開的にはジム・キャリーの実写版と概ね同じ。
最初はひねくれ者のグリンチ。そのひねくれっぷり、嫌みっぷりこそが見てて面白い。
クリスマスで賑わうフーの村からクリスマスを奪ってやろうとする。その可笑しな驚き大計画!
そんな時、一人の女の子、シンディ・ルーと出会って…。
一人の可愛いピュアな女の子が、ひねくれ者を変える。
グリンチのちっちゃな心がまた再び大きくなる。ひねくれ者ではなく、孤独だっただけなのだ。
グリンチのキャラは愉快。吹替で見たが、大泉洋の声も悪くない。
画はカラフルで綺麗でファンタスティック。
勿論最後は心温まるハッピーエンド。
良質健全な愛すべき好編。

…なのに、何故だろう、この面白味の無さは。
ほっこりしていい話なんだけど、全てがあるある、予定調和、ステレオタイプ、完全なる子供向け。
もうちょっとユニークな趣向や毒気があったら…。
子供の頃のグリンチが描かれたポスターもあって、てっきり子供の頃、クリスマス嫌いになった理由がもう一つのメインストーリーとして描かれるのかと思ったら、ただのちょいちょいの回想ってだけ。
それがしっかり描かれていたら終盤のグリンチの改心にグッとくるものがあったのに、描かれてないもんだから、呆気ない。
何度も言うけど、楽しいのは楽しいし、愛すべきいい作品なんだけど、面白かったかと聞かれたら、う~ん…。
イルミネーション・スタジオの作品はどれも嫌いじゃないが、時々話が退屈でキャラの魅力頼りな時がある。今回は殊更そう。

本当にグリンチのキャラだけで守っている。
何だかこれって、日本のTVアニメの映画化に似ている。
例えば『ドラえもん』や『コナン』だって、たまに話がつまらない時もある。それでも皆、キャラが好きだから満足。
アメリカ人に『ドラえもん』や『コナン』を見せたって馴染み無いからつまらないだろうが、日本人にグリンチを見せたって同じ。
キャラが好きか否か、馴染みあるか否かってだけ。

それとも、この愛すべきキャラと好編を素直に楽しめない自分がひねくれ者なだけなのかもしれない。

近大