「物事には2つの側面がある。」ワンダー 君は太陽 あきさんの映画レビュー(感想・評価)
物事には2つの側面がある。
これは、私が劇中の中で出てきた印象に残っている言葉です。
「ワンダー君は太陽」が宣伝の謳い文句とされていますが、これは主人公の男の子を太陽とし、その周りの惑星を他の登場人物としているのを文字ったものです。
主人公がいて、他に登場人物がいるのは当たり前であり、またこの謳い文句も語呂がいいだけだと思っていました。
しかし、短い限られた映画の中で、男の子を中心に他の登場人物にもしっかりと簡潔にスポットライトが当てられていました。
この映画は文字通り、男の子を中心に数々の惑星が回っているのが伝わってきました。
男の子が葛藤するのは勿論、その裏でも数々の葛藤が繊細に描かれています。そして劇中の「物事には2つの側面がある」この言葉がストンと胸に落ちました。
何がこんなに心を動かすのか、飾り気のない自然体の演技ひとつひとつに心酔してしまいました。そしてこんなにも登場人物に好意を持ったのは私の経験上、初めてで、みんな違ってみんな良いという言葉がピッタリだと感じました。
母親が男の子にどう応えていくか、これをお母さんに感情移入し、自分が母親だったらどうやって応えていくか考えながら見ていましたが、登場人物のお母さんに完敗しました。
人はつまずきながら精一杯動いているのだと、また劇中の言葉を引用しますが、「みんな闘っている、その人を知りたければ、じっくり観察すればいい」このようなニュアンスの言葉があり、映画だから、それぞれの人に長い間スポットが当てられ、やっと、その人の心情や行動を理解する事ができるのだから、現実世界でも同じく、しっかり見ないと誰のことも知ることはできないのだと感じました。また、自分のことで精一杯で周りが苦しそうでなくても、それはまた相手も同じなのだと気付かされました。
劇中、役者さんの繊細な動きに何度も胸を打たれ、涙してしまいました。また見終わった後もしばらく余韻に浸ってしまいました。
感じ方は人それぞれですが、私はこの映画が素敵だと思いました。映画館で見れなかったことだけ、悔やまれます。
この印象の欄は、とても難しいです。
泣ける ことは確実ですが、この映画は簡単に表現できません。どこに重きを置くのか、人それぞれだと思うので。