「皆んな色々と大変なんだ」ワンダー 君は太陽 foxheadsさんの映画レビュー(感想・評価)
皆んな色々と大変なんだ
前作「ウォールフラワー」では、原作・脚本・監督を努め、独特な味わいの青春映画を作り出したスティーブン・チョボウスキーが、R・J・パラシオの児童(だけではないが)小説「ワンダー」を映画化。監督が”原作の忠実な映画化”とインタビューで言っていたが、やはり2時間程度でこの原作の完全映画化は無理か。時間が足りないだけで無く、色々な登場人物の視点で同じ時系列を別々に描いたりするし、続編だってある。でも、完全は無理としても、チョボウスキー作品には魅力がある。温かみのあるサニー・サイドな映像、ストーリー、そして「ウォールフラワー」に顕著だった音楽の使い方がイチイチ良い。明るく前向き感のあるパッション・ピットと、原作のインスピレーションの元だというナタリー・マーチャント「ワンダー」は、是非本編中で使ってほしかったけどね。「ウォールフラワー」のデヴィッド・ボウイの様に。肝心の内容の方は、”泣ける映画”である事は間違い無いが、単に”可哀そう””良かったね””感動した”だけでは終わらない。主人公だけではなく、登場する人々の良い事も、悪い事も、悲しい事も、嬉しい事も、どーでも良いことだって、何だか観る側が感情を揺さぶられてしまう、そんな作品。原作もそうだったし、そういう意味では”原作の忠実な映画化”が成功したってことでしょうね。素晴らしいです。
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