「脚本が捻り過ぎだけど面白い。(今後予想を追記しました)」GODZILLA 決戦機動増殖都市 papaさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本が捻り過ぎだけど面白い。(今後予想を追記しました)
「いかにしてゴジラを倒すのか」が論点かと思いきや、「人間とは何か」についての問いを突きつけられるハルオ。
怪獣を倒すには人間(の肉体と感情を持つことで得られる喜びなど)を捨て去る必要があると主張するビルサルド、それは自ら怪獣になるに等しいと主張するエクシフ(のメトフィエス)。
「人間としてゴジラに勝ちたい」と言うのは簡単だが実現が途方も無く困難な状況で、既にハルオも含めた勝利の為に身を捧げてしまったビルサルドのガルグ達を否定もしきれない主人公。
恐らくユウコの事さえなければ、ハルオもガルグ達にあそこまでしなかったようにも思えます。にしてもユウコが不憫過ぎます。
ビルサルド人だって別に何もなければ、進んでメカゴジラに同化したいとは思ってなかったはず。でなければとっくにメカゴジラ開発時に同化してただろうし。
そして悩みの相談を受けているように見えて、ジワジワとハルオを追い込んでいくメトフィエス。ビルサルドの力を借りて直した神器でユウコを助けるのかと思いきや、そんな事はありません。あいつ絶対裏で悪いことしてる。多分ギドラを地球に呼んでる。
それにしても、ナノメタルはGガンダムのDG細胞を彷彿とさせますね。自己増殖、自己修復、自己進化の三大理論を備えて暴走したら手に負えなさそうなところからもう。
あんなのに勝てたドモンはスゲエな。理屈では倒せないということか。
今後「人間も自然の一部、それを滅ぼそうとは愚の骨頂」とか言ってゴジラに説教をかます主人公展開にならないか心配になってきた。
これから登場すると思われる怪獣を考えると、物語の尺として、第3章で収まるのかな。
戦闘シーンはスピード感もあり、カッコイイけど、ゴジラが大き過ぎてどうしても倒す方法がプロジェクトX化してしまうのと、ゴジラが建物を壊すとき、対象の都市の建物に窓とか階段などが無くてスケール感が掴みにくいのが残念。
(5/27補記)
ここからは、次作の展開予想になりますので、まっさらな気持ちで見たいと思われる方はスルーをお願いします。
第2章を観てから少し頭を冷やして考えました。
今回地球人類とビルサルドの違いが語られていますが、となると次回はエクシフとの違いに焦点が当てられると思います。
今まで、『エクシフの教え』という言葉は何度も使われていますが、エクシフの神の名は出ていません。
メカゴジラがある意味ビルサルドの神だとすれば、エクシフの神とはギドラではないかなと。よくよく思い返すとエクシフの使うゲマトロン演算はギドラと何か関係がありそうですし、エクシフの長が持つゲマトロン演算の石(黒くて中に緑の光が浮かぶヤツ)は案外ギドラとの通信機なのではないでしょうか。(ゲマトリア演算の仕組みはビルサルドでも解析できていない。)
ビルサルドの目論見がメカゴジラによる地球支配ならば、エクシフの目的はギドラへの献身かもしれません。
メトフィエスがハルオに入れ込んでいるのは、メトフィエスが自分たちの教義(ギドラ崇拝?)に疑問を持ち、ハルオがゴジラ打倒を通じてその教義を否定してくれることに期待しているか、もっと直接的にゴジラを味方に引き込んでギドラを倒したいからと思います。
メトフィエスがわざわざ地球上でビルサルドに依頼して神器を修理したのは、宇宙船の中では他のエクシフ人に自分の異端的考えが露見してしまうことを警戒したからでしょう。
(神器は対ギドラ戦のキーアイテムになる?)
地球脱出前の対ゴジラ戦の切り札としてのメカゴジラは、小説版では膨大な犠牲を払いつつも期待を集めて建造されたことが記されています。しかしそんな超重要なプロジェクトで最後の最後に起動出来なかったのは、偶然や事故ではなく、故意によるものと考えたほうが自然です。第2章のパンフレットを見ると、メカゴジラのAIにはゲマトロン演算アルゴリズム応用AI「デインデ」が使われていたようです。つまりメカゴジラが起動しなかった理由とは、エクシフの意向だったと思われるのです。
(個人の意見です。単なるバグの可能性もあります。。。)
妨害した理由は、あのタイミングでメカゴジラが起動してゴジラを倒してしまうと、その後の地球でビルサルドが実権を握ってしまうから。(これは第1章でメトフィエスも冗談めかして言っていますね。)そして、メカゴジラはギドラに対抗できる可能性を持っているから。(エクシフの神がビルサルドの神に負けては困るため。)
第3章では、「エクシフの教え」の正体がポイントの一つになると思いますが、一方でビルサルドはもう出番がないのかというと、個人的にはまだもうひと頑張りして欲しいところです。一番期待する展開は、死んだと思われているユウコが実はナノメタルのコントロールを握って生きていることです。ガルグやベルべは融合途中で肉体を失っていますが、ユウコは体が残っています。つまり意識が残っていれば(肉体はだめだとしても)破壊を免れたナノメタルに緊急避難(?)できているかも知れません。
第3章でゴジラ・アース、ギドラ、モスラが出るとして、第2章で肩透かしを食らったメカゴジラの強化拡大版をユウコが残ったナノメタルを投入して作ってくれるといいなあ。300m級のメカゴジラが見たいなあ。
ゴジラ・アースは小説版でゴラス(月と同等の質量を持った直径30キロの小惑星)を地球に衝突する前に破壊しています。これは自己保存のためだったのか、地球を守るためだったのか不明ですが、2万年後の地球で生態系の頂点に立っているということは、ほぼ地球の神と同義と言えるような気がします。ゴラスはいろいろ不自然な点が多く、これがギドラやエクシフの差し金だった可能性もあると思います。
小説ではつがいのモスラの1体がゴラスの接近を感知して、ゴラス破壊に必要なエネルギーをゴジラから奪おうと戦います。しかし逆にゴジラに敗れてエネルギーを奪われ、ゴジラはモスラのエネルギーも取り込み、超長距離砲撃によるゴラス粉砕をしています。
これは結果的にゴジラの成長にも一役買ったのかもしれません。
ゴジラが成長して誰が得をするのか。少なくとも地球人やビルサルド人には動機が考えにくいです。しかし未来予知技術を持つエクシフ人ならあるいは。
小説版によると地球脱出のアラトラム号とオラティオ号は前者がエクシフ、後者がビルサルド主体で建造されています。搭乗者はゲマトロン演算で決められており、脱出後にはどうも地球上にエクシフ人は残っていないようです。(最後の反抗の拠点にはエクシフ神官がいない)
第1章の冒頭でハルオたちの乗ったアラトラム号からタウeに降下した揚陸艇が謎の爆発を起こしますが、あの事件がきっかけで地球帰還の機運が高まったこと、20年もかけて航行した距離をたった1回のワープで地球まで戻れるような都合のいいワームホールがゲマトロン演算で発見されること、どれもエクシフが2万年後の地球に戻ることを目的としてコントロールしていたとすればうなずけます。
もう一隻のオラティオ号の行方は不明ですが、私の予想では既にタウe事件のように爆破されているか、先にギドラに取り込まれているか、いずれにしてもハルオ達の戦力外な状態に置かれているものと思います。(ビルサルドのフツア族に対する拒絶反応や、メカゴジラが放置されていたことから、少なくとも先に帰還してフツア族に合流していることはなさそう。)
結局、ゴジラ・アースは最後まで生き残るか不明ですが、ゴジラが地球の守護神だと判明した場合、ギドラを倒した後、ハルオ達はフツア族と合流して「ゴジラのいる地球での共生」を選択するのではないかと思います。
(モスラが勝ち残れば、結局モスラがゴジラと置き換わるだけで、多少住みやすいのでしょうが、地球で共生することに変わりはないでしょう。)
アニメゴジラのテーマの一つには、環境適応や進化の要素があると思います。
正直、フツア族とハルオ達には争ってほしくないので、環境に適応した最適な生き方として、ハルオ達の持つ技術を導入するのはいいですが、フツア族とは共存して欲しいです。
制作陣は、この話はハルオの為の物語ということを言われているので、ハルオの人間としての成長とその結果の選択に注目したいと思います。