「大満足!」ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 しまさんさんの映画レビュー(感想・評価)
大満足!
もうお腹いっぱいです!
あくまで個人的な感想ですが、加点方式で言えば余裕の100点越え、減点方式で言えば80点と言った感覚です。
確かに原作を読んでない方やシリーズがまだ染み付いてない方からしたら何が何やら整理のつかぬまま置いてかれてしまうその気持ちも十分分かります。そういった方はいつか何かの機会でハリポタワールドにどっぷりハマった際にもう一度今作を見直していただけると、今作を楽しんでるファンの気持ちもいくらか分かってもらえるのかな、といった次第です。
それから主人公であるはずのニュートや魔法生物があまりにも活躍していないのでは問題、これもよく納得できます。前作の前半のようにニュートが明るく楽しく世界中の魔法生物を探す映画を期待して来た方の不満も十分理解できます。ここは人の好き嫌いの問題ですので仕方がないです。
一応言い訳として、今作はニュート以上にグリンデルバルトにスポットを当てることがメインだったのではないのでしょうか。
ハリポタシリーズのメインヴィランであったヴォルデモートは確かに残虐非道で最強の敵として描かれていますが、結局はハリーと味方サイドが立ち向かうその姿に観客は感動したり心を打たれるわけで、ヴォルデモート自体に共感するところがあったり彼自身が心から魅力的だとは言えないと思うのです(少なくとも僕はそう思います)。映画で出てくるナチスは大抵の場合連合国側のストーリーを盛り上げるためのいわば障害物であってストーリーのメインではない、これに近いと思います。
対してグリンデルバルトがヴォルデモートと大きく違っている点はその柔軟さ、言葉だけで敵を味方にするその技能でしょう。ダンブルドアが言っていた、言葉は魔法である、といった一説はグリンデルバルトの事を思いながら語ったのでは?と考えたりもします。そしてヴォルデモートが横暴で過激なのに対しグリンデルバルトは軽やかで華麗な身振りをします。指揮を奏でるように炎を操るその姿は印象的ですし、それを演じたジョニーデップはやはり流石としか言いようがないです。見直しました。
また今作でグリンデルバルトの次にスポットライトの当たった人物はクリーデンスとクイニーでしょう。クリーデンスは自分のアイデンティティを探し求め、クイニーは自分のイデオロギーを社会によって否定されてしまいます。人はこうして自分の居場所を無くすと、時にはそれらを手に入れるために倫理の境界を越えてまで必死になる。この映画は個人のアイデンティティや否定されたイデオロギーは善悪の価値観を捨ててまでも追い求めるべきものだろうか?という疑問を投げかけているようにも、それほど社会に居場所のない人間は寂しいものである、といった風にも、誰に共感するかによって全く違ったように捉えられます。彼らが今後どうなるのか、楽しみです。
とりあえず難しい事を抜きにしても、とにかくクリーデンスがまさかダンブルドアの家系だったということには驚きました。中盤でレストレンジだと思われてた時はなんだかふーん、くらいの感覚でしたがその影響で大ガラスだと思ってた雛が不死鳥になった瞬間は全身鳥肌立ちました。とはいえ不死鳥がグリンデルバルトの出した幻影の可能性もなきにしもあらず、何しろあのグリンデルバルトのことだから本当にクリーデンスがダンブルドアかは分からないのが現状、とにかく次回作を楽しみに待っています。