「走り出す背中に、そっと吹いた風」恋は雨上がりのように さやのんさんの映画レビュー(感想・評価)
走り出す背中に、そっと吹いた風
クリックして本文を読む
映画『恋は雨上がりのように』を観終えたとき、胸の奥にじんわりと温かいものが広がっていた。
確かに、45歳と17歳の恋――設定だけを見れば、少し戸惑いを覚えるかもしれない。
でも、この物語には一切のいやらしさがない。ただ真っ直ぐで、少し不器用で、それでもどこまでも純粋な想いが丁寧に描かれていた。
夢をあきらめた中年男性と、走ることを止めてしまった少女。
17歳の彼女は、まるで雨のように突き刺さるまっすぐな思いをぶつける。
そして45歳の彼は、それを真正面から受け止め、そっと彼女の背中を押して、再び“自分の道”へと導いていく。
中でも、車で送るシーンで見せた小松菜奈さんの笑顔。
普段はミステリアスでクールな彼女がふと見せたその一瞬の柔らかさが、心に深く残った。
あの瞬間に、この物語のすべてが詰まっていた気がする。
観終わった後には、静かで清々しい風が心を吹き抜けていった。
そして、「もう一度、自分も走り出してみよう」そんな前向きな気持ちになれた。
『恋は雨上がりのように』は、ただの恋愛映画じゃない。
人生の途中で立ち止まったすべての人に、そっと背中を押してくれる一作だった。
コメントする