「明るい再生の物語」恋は雨上がりのように 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
明るい再生の物語
小松菜奈は役所広司主演の「渇き」の冷酷でミステリアスな少女のイメージが強く残っていて、無表情の存在感と不気味な笑顔が特徴的だった。
本作品でも無表情の表情とでも言うべき演技で独特の存在感を表現する。こういう演技が必要な場面は本作品に限らず結構あって、上手く生かせれば小松菜奈という女優の個性となっていくだろう。
大泉洋は達者な役者だが、何を演じてもそこら辺にいそうなコミカルな感じになる。軽薄だがたまにシリアスで、リアリティ十分である。こういう気のいいおじさんは日常的に見かけるものだ。
さて、物語はどこにでもある喪失と再生の話で目新しさはないが、小松菜奈と大泉洋という個性的な配役が功を奏して、テンポのいい心理劇に仕上がっている。登場人物のいずれもが典型的で、誰にでも容易に感情移入ができる。
雨のシーンが多い映画だが、ストーリーが進むにつれて登場人物たちの心が晴れていく。お手軽ではあるが、タイトルとも調和のとれた明るい再生の物語である。
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