「明日に向かってリセットできる、"雨上がり"のような作品」恋は雨上がりのように Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
明日に向かってリセットできる、"雨上がり"のような作品
永井聡監督のセンスと、眉月じゅんの原作コミックの伝えたいことが化学反応を起こして、爽やかな風を運ぶ。
45歳・子持ちバツイチのファミレス店長(大泉洋)に恋心を抱く、17歳の女子高生(小松菜奈)のエピソード…という設定が、興味本位の"いかがわしさ"を醸し出しているが、それを大きく裏切ってくれる。
原作コミックはアニメ化もされているが、この実写版はキャスティングで成功している。
監督の狙い通りに、大泉洋と小松菜奈の2人が作り出す空気感が作品を支配する。昔のガツガツしたバラエティ色の強い大泉洋ではだめだろうし、幼さの残る可愛いアイドル系ヒロインや色気のあるセックスアイコン的なヒロインでもだめだろう。今この瞬間の小松菜奈だからできる役柄を100%引き出している。
脚を怪我して挫折した陸上部所属のランナー"橘あきら"。小説家をめざして家庭をかえりみず夢を追いかけ続けたが、夢も家庭も中途半端になってしまったファミレス店長の"近藤正己"。
壁の前で立ち止まっている2人が出会ったのは、"雨の日"。2人の心が交流するのも、きまって"雨の日"。
あきらの "向こう見ずな純愛"をやさしく包み込む近藤店長のオトナの心持ち。オトナはこうありたい。自分を知り、相手を想うことの大切さを丁寧に描いている。
明日に向かってリセットできる、まさに"雨上がり"のような作品である。
吉田羊が、小松菜奈の母親役を務めているが、この2人が並ぶとどうしても、"♪腸にちょこちょこ乳酸菌~"(ロッテ乳酸菌ショコラのCM)がアタマをよぎってしまう(笑)。
(2018/5/26/TOHOシネマズ日本橋/シネスコ)
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