「生きる力が湧き出るかのような映像」レディ・バード Rewind Thatさんの映画レビュー(感想・評価)
生きる力が湧き出るかのような映像
映像がとにかく美しいです。自分が希望に溢れてこの先の未来がただ楽しみで、目に映るもの全てが輝いて感じる、そういった美しさです。つまりただ美しいものを写す美ではなく、その辺に転がっている石ころやゴミも美しく感じてしまう日もあるでしょう、全編を通してそういう映像です。それは故郷を愛さざるを得ない出身者特有の視点から生じるノスタルジーがそうさせるのだと感じます。
登場人物の表情にグッと寄せる演出が少なく、客観的な映像が多いのでドキュメンタリーの様でもありました。
主人公はとにかく正直で、包み隠さないタイプ。しかし観客が不快にならない一線を決して越えない絶妙なバランスで描かれていました。家族の話、学校の話、つまり彼女の人間関係のお話がメインで、それらの人間関係が彼女の内面に及ぼす影響が主題でした。受験や私立校やらの話はあくまで設定としての存在でした。影響というのはつまり成長、もっと平たくいうと「一皮剥ける瞬間」ですね。それは常に観客が見たいと感じるもので、まさにその需要を満たすものでした。
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