「故郷や家族が痛いほど恋しくなる。感謝の念がとめどなく湧き上がる。」レディ・バード ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
故郷や家族が痛いほど恋しくなる。感謝の念がとめどなく湧き上がる。
冒頭から溢れるヴィヴィッドな感性にハートをぎゅっと鷲掴みにされる。アメリカ訛りのシアーシャ・ローナンの姿を拝めるのも貴重な体験だが、この若き女優は過去の清楚な衣服を脱ぎ捨てたかのように「これまでと違う役柄」を、感情の花火を打ち上げ続けるが如く、実に活き活きと演じきる。すべてのセリフと身のこなしにワクワクが止まらなくなるほどだ。
舞台となる街は監督グレタ・ガーウィグの故郷らしい。女優でもある彼女が『フランシス・ハ』で見せた「とことん突っ走るタイプのヒロイン」は、ここにもローナンの姿を借りて出現する。また、ローナン主演作『ブルックリン』で描かれた多感な少女の成長や胸を焦がすほどの郷愁も絶妙にブレンド。そこにカトリック系学校ならではの環境や学内の交友関係、さらには家族の肖像、とりわけ母との関係が見事に織り込まれる。故郷や家族が痛いほど恋しくなり、感謝の気持ちがとめどなく湧き上がる名作である。
コメントする