劇場公開日 2018年3月30日

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「報道の自由を取り戻せ!(&物語の補足)」ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 とさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0報道の自由を取り戻せ!(&物語の補足)

2018年4月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

スピルバーグによる現代のトランプ政権への警鐘の意味も込めつつ作られた作品で、報道の自由に戦う経営者と編集長のお話です。役年齢の方が実年齢よりも若いメリル・ストリープとトム・ハンクスですが、与えられた役職(責任)や当時の疲労感を考えると2人の配役には納得&流石の演技で映画に引き込まれていきます。

映画の感想は短めにして、この映画を鑑賞した方にむけて私がわかる範囲で長文ですみませんが補足情報を書きたいと思います。

【映画補足】
まずは時系列の整理です。
映画でメインで描かれてるのは1971年6月です。
1964年:アメリカ、ベトナム戦争に介入
1971年:ペンタゴンペーパーズ&株式公開(IPO)
1972年:ウォーターゲート事件

次に補足です。
①この映画では政府に楯突いて新聞発行をすべきか悩むグラハムのシーンがあります。
このときグラハムは報道の自由との戦いだけでなく、IPOの難局時に銀行・証券筋との関係を悪化させる決断を下すことにも悩んでいるのです。ちょっと前まで4人の子育てをしてた都会育ちの金持ち主婦がこれだけの判断をするのがいかに頭を悩ませるか想像に難くないですよね。(実際に手がぶるぶる震えてるシーンがあります。)

※ポスト紙は信頼性と報道の質の高さが評価されますが、一方でこれら報道によって投資家たちはアメリカ政府から睨まれている新聞社という印象を持ち、以降数年間株価は実際の価値よりもかなり低く推移することとなります。ちなみにこの株価低迷を救ったのは大富豪ウォーレンバフェット。1973年に株式取得、以降役員としてグラハムを支え、現在のポスト紙に至る基盤作りに貢献しています。(現在は退任)

②ウォーターゲート事件の示唆があり映画は終わります。映画内でマクマナラ長官から「あいつは卑劣なやつ」と言われていた大統領のニクソンはこの事件を機に辞任に追い込まれます。そしてポスト紙はこの一連の報道でピューリッツァー賞を受賞し、ワシントンの地方新聞社から全国区の新聞社へと大きく成長していきます。

こんなところでしょうか。スピルバーグらしい作品でしたね。

と