「まさに今観るべき、116分の「ツイート」」ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 ヒートこけしさんの映画レビュー(感想・評価)
まさに今観るべき、116分の「ツイート」
スピルバーグは本作を「ツイートのようなもの」と形容したようやけどなるほど。まさに今、日本人こそ観るべき傑作。報道の自由を守るための戦い、男性優位社会における女性の戦いを描き、社会に警鐘を鳴らしながら一級の娯楽作品に仕立てる。これぞ巨匠の仕事
俳優陣も見事。メリル・ストリープとトム・ハンクスは序盤の掛け合い(ただの会話なのに長回し!)から笑っちゃうほど余裕綽々。脇を固めるキャストには『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』『ベター・コール・ソウル』のメインキャストを据えたりと、その意味でも今を映している
ラストはモロに『大統領の陰謀』に繋げられていて、「革命前夜」とでも言うべき熱を帯びたまま終わるのもいい。ペンタゴン・ペーパーズの暴露が最終的にニクソン辞任に至る「ジャーナリズムの勝利」に繋がることを改めて示す、ベタやけどアガる演出。本作を観る前に『大統領の陰謀』の予習はマスト!
この完成度で製作期間が11ヶ月とは恐れ入る。すぎやまこういちは、当時55歳で作曲した「ドラゴンクエスト序曲」について「55年と5分で作った」と語ったけど、本作もスピルバーグが今までに積み上げて来たキャリアがあってこその早業だろう。ちなみにすぎやまこういちが死ぬほど自民党シンパなのは内緒
日本人はみんな本作を観て、今の政府の在り方と自分自身の在り方について考えてみるべきだと思う。まあ「それぞれが正しいことをしよう」ということよな。それができれば苦労はせんけど。正しく在ろうとし続けよう
終盤に「小さな反抗」が波及して…というシーンがある。そこでトム・ハンクスが多分"We are not alone."みたいなことを言ったと思うんやけど(字幕がそういう感じだっただけかも)、この言葉は『未知との遭遇』の本国版コピー。スピルバーグは変わらない