「日本人の感性の磨かれ方」日日是好日 parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人の感性の磨かれ方
クリックして本文を読む
樹木希林の遺作となった作品。黒木華と多部未華子がお弟子になって、茶道を指南されるのが微笑ましい。最初に形だけなぞっておいて、後から心を入れるという考え方。これは、日本文化の隅々まで行きわたっていたのではないか。型から入って、十分に習得したら、型を崩してよい。
何年も茶道に親しむことで、少しずつわかってくることがある。「茶道」を習慣にすることで、それが自分の日常に必要なもの、時間になっていく。恋人に裏切られたり、父が亡くなったり。そんな悲しいことがあっても、型を覚えていることで、気づいたり、救われたりすることもある。フェリーニの名作映画「道」を以前に見た時は、まったくわからなかったけれど、その凄さがわかるようになった。「道」は、「茶道」に掛けた言葉だろう。人としての良さは、毎日の積み重ね、習慣に心を入れていくことで培われるのだよって言われているかのよう。
「一期一会」「聴雨」、冬は冬の良さを夏は夏の良さを味わう、その時、その時の瞬間を味わい楽しむ。そんな禅の世界をも表しているように見える。
樹木希林が癌を患い、痛みに耐えながらも、次の映画界を担う若手女優二人に、「茶道」や「日々是好日」の考え方やら女優としての有り方を伝授したのではと考えさせられる作品。
コメントする