劇場公開日 2018年10月13日

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「日本の原点が心に沁み込んでくる」日日是好日 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本の原点が心に沁み込んでくる

2022年8月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

日本人であることを強く意識できる極めて日本的な作品だった。全編を通して、物語のワンシーン、ワンシーンが自然に心に沁み込んでくる。観終わって心地良い余韻が残る。本作は、茶道を学ぶ女性の半生を通して、生きるための心構えを我々に教えてくれる秀作である。

本作の主人公は、大学生の典子(黒木華)。彼女は、大学生になっても自分の本当にやりたいことを見出せず満ち足りない日々を過ごしていた。そんな彼女を見かねた母は、彼女に茶道を勧める。彼女は戸惑いながらも、従妹の美智子(多部未華子)とともに、茶道教室に通い始める。そして、次第に茶道の魅力に惹かれていく・・・。

派手な作品ではない。しかし、典子たちが茶道を学ぶことは日本の原点を学ぶことに通じていて、我々観客も日本の心に触れることが出来る。茶道教室の先生役の武田のおばさん役の樹木希林の佇まいが素晴らしい。茶道の達人でありながらも、驕るところは少しもなく、典子たちを優しく、時にコミカルな雰囲気で茶道の世界に導いていく。樹木希林の佇まいは凄いというよりは、無駄がなく自然であり水の流れのように周りに溶け込んでいく。人生経験に裏打ちされた、泰然自若とした落ち着きがある。典子たちに語る台詞の一つ一つが、味わい深く人生訓のようだ。特に印象深いのは、形から入って、心は後から入れるものという言葉である。最初は真摯に学べ、考えるのはその後だ、と理解できる。我々が人生において様々なものを学ぶ時に忘れてはならない名言である。

典子は大学卒業後も定職に就かず、バイトをしながら茶道教室に通い続ける。その間、典子の身には様々な事が起きる。そのたびに、武田のおばさんは、優しく典子に寄り添う。そして、典子は、茶道教室に掲げられていた“日日是好日”という言葉の本当の意味を理解し人生を歩んでいく。

本作は、静かな作品だが、茶道を通して日本を強く感じることのできる秀作である。

みかずき
カルヴェロさんのコメント
2022年8月29日

日日是好日、この言葉をほんとに心から、ぽつり と出てくるように考え生きていく事は難しいけど不可能なことではないように思います
何事もない日常ではなく、何か事が起きた時にも、その心持ちで過ごせるようにしたいものです。

カルヴェロ
こころさんのコメント
2022年8月14日

みかずきさん
コメントを頂き有難うございます。
レビューに書いていらっしゃるように「 形から入る 」、分からないながらも、やって行くうちに理解が深まる事は、確かに多いですよね 🤔
感覚的に観たいと思った作品には、心に響くモノが多いかも知れませんね。
たまにハズれに当たったりもしますが 😆

こころ