「私も道が大好きです」日日是好日 ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
私も道が大好きです
私のような多部未華子ファンにとっては、彼女の出番が少なく不満である。それに、彼女がいてもいなくても、あまりこの映画では重要でない。ということは、多部未華子は客寄せのため出演させられたのかな?それでも、多部未華子の茶道に対する真剣な眼差し、凛々しい着物姿を堪能できただけでも満足ではあったが。まだまだ女子大生役も違和感ないですね。というか、「お茶って変」とか、セリフを含めこの映画の役としては多部未華子そのままと言う感じで、ファンとしては貴重な映画の1つになった。
話は中盤まで、茶道のノウハウを教える映画か?と思えるほど茶道のことがばかりで、物語はないのかと心配してしまった。中盤からようやく物語らしきものが展開してくるが、それでも特に山場というものがなく、相変わらず淡々と茶道を中心に進行して、結局そのまま終わってしまう。ただ、茶道の奥深さ、和菓子の美しさ、茶室の素晴らしさは伝わってくる。また、虫の音、雨音、水(お湯)の音等、自然の音にすごく拘っていて、耳を研ぎ澄まして聞いているのも心地よかった。
強いて山場というものがあるとすれば、父親の死であろう。せっかくフェリーニの「道」について言及していたので、父親の死に際して、自分も非情なザンパノ(「道」の主人公)だったんだと重ねても良かったと思う。例えば、父に冷たくした後に死んでしまったとか。この映画では、父親が彼女のマンションに立ち寄ろうとしたのを用事があるため断っただけなので、ちょっとそれだけではザンパノと同類にするにはゆる過ぎる。いずれにしても、冒頭の10歳の時に両親に連れられて「道」を見に行ったという話は、何らかの伏線になっていたのではないかとある種の期待をしていたのが、単に大人になって見たらその良さがわかったという単純な話だった。それにしては、「道」は両親が10歳の子に見せるような映画ではないと思うのだが。時代設定から、ロードショーではなく、リバイバル公開で見たということになるが、この映画を見ている人で、「道」を見た人が果たして何人いるのだろうか。「道」という映画を引き合いに出すのはちょっと不自然な気がしてしまう。
「道」。
多部未華子と黒木華の場違いな想起。
静かなお茶室では少し慣れてくるととんでもない場違いな雑念が起こってくるかもですねー
座禅と同様、雑念との闘いです。
(というか雑念をも携えてお茶をもてなすということか)。
・・樹木希林先生にそのあたりも訊いてみたかったです。
「うんうん、そうなのよ。ぜんぜんそれでいいの」
と、おっしゃって下さる気がしますが(笑)