アメリカン・ソルジャーのレビュー・感想・評価
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アメリカには、こんな帰還兵が山のようにいるんでしょうね。
イラク戦争でPTSDを負った主人公達の、苦悩と再生を描く物語。
心に迫る映画です。帰還兵たちの、そして家で彼等の帰還を待ちわびていた家族達の苦悩がしっかりと、でも淡々と描かれています。
「苦しさを吐き出したい気持ち」、「吐き出すことへの恐怖」の葛藤が、重く心を打ちます。
序盤、三人の帰還兵がバーで踊るシーンも印象的です。
心を押しつぶしそうな程の不安、その不安を必死に振りほどこうとする彼等の唄声が・・・
少し残念だったのが、冒頭から中盤までエモリーとドスターが混同し易かったように感じました。私は混同していたので、巻き戻して再確認したのですが・・・とても大切な役どころですから、冒頭からもう少し分かり易く見せられた良かったかもしれません。
地味な映画なので最高評価は付けにくかったのですが、もう一度観直したい映画でした。そして、もう一度観たら、もっと高い評価を付けられそうな映画でもありました。
人を殺してもらった勲章なんか除隊したら何の意味もない
映画「アメリカン・ソルジャー」(ジェイソン・ホール監督)から。
作品の解説にこう書いてある。
イラク帰還兵のその後を取材したノンフィクション
「帰還兵はなぜ自殺するのか」を題材に描いた戦争ドラマ。
この本のタイトルのように、物語の随所に帰還兵の苦しみが表現され、
鑑賞後、ずしりと重たい気持ちになったことを書いておきたい。
冒頭「壁に書かれたメッセージ」が映し出されるが、
「あと160日」「イラクなんてくそくらえ」「安らかに」「死にたくない」
「人を殺してもらった勲章なんか除隊したら何の意味もない」
どれもが、本音で書かれている様子で、心が痛んだ。
アメリカには「復員軍人医療センター」があり、
フラッシュバックしたりし、睡眠障害に陥る兵士の心のケアにあたるが、
それでも、自殺してしまう人たちも少なくないようだ。
帰還後、一人で抱え無口になる姿に、家族もまた耐えられないようで、
「見くびらないで、私はタフよ、戦場の話を避けなくてもいいわ。
なんでも耐えられる、沈黙以外はね」
「話してくれなきゃ助けてあげられない」
「トラウマに特効薬は無いけど対処法は学べる」などの台詞が飛び交う。
体の傷は時間が経てば治るけれど、心の傷は治りにくいんだよなぁ。
戦争後の兵士のことは考えたことがなかった。
この映画は戦争後の兵士の気持ちを如実に表している映画です。今まで考えたこともなかったものを非常に考えさせられる映画でした。現実的な問題として捉えることができた映画であった。
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