カメラを止めるな!のレビュー・感想・評価
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とにかく観てくれ!
最高の映画体験。
予告を見ていなかったけど、たぶん絶対面白いだろう!と期待を込めて最前列で鑑賞。
前半のカット無しのゾンビドラマでゲロゲロに酔っていたら、後半のめくるめく情熱の波に飲まれて大爆笑しながら大号泣していた。
「ワンカット撮影からの何か」があることはわかっていたけど、また本物のゾンビが出てきて〜というループになるホラーだと思っていた。
まさかの製作ドキュメントに方向転換、怒涛の展開と大量の伏線の回収劇に圧倒される。
全ての感情をグワングワンに掻き回されて、もう本当に楽しかった。
うだつの上がらない日暮監督のファースト演技シーンが最高。
「早い・安い・質はそこそこ」でプロデューサーや若手女優にすら従いっぱなしだった彼の「撮影は続ける!カメラは止めない!」の言葉が胸打って止まらない。
最初はイケメン俳優目当てだった、ウソの演技が許せない映画監督志望の娘、真央がプロデューサーをど突いてモニター前に陣取る所も熱い。そしてこの親娘の肩車、最高!
劇中劇の中で不審な動きを繰り返していた山越の真相もなんとも可哀想で本当に笑えた。やっぱり私はウンチが好きだな。
他のキャラもみんなそれぞれ大好きなんだけど、特にこの3人が好きかも。
ゾンビ映画であり、コメディであり、青春映画であり、ヒューマンドラマであり、成長物語であり、アクションであり、ドキュメンタリーであり。
あらゆる要素を含んでいて、低予算映画の中でも断トツのスペクタクル大作なんじゃないかと思う。
舞台はかなり狭いけどその狭さがいい。
ただのワンカット作品の製作の裏側とネタバラシを描いたドタバタ喜劇だと言ってしまえばそこまでだけど、それ以上の深さと熱と渦を感じさせられる素晴らしい見せ方と演出と演技だった。
そしてエンドロールと共に、本当の撮影の裏側が流れて、それがまた最高に熱い。
カメラを地面に置いている一瞬の間でお水を二杯飲むカメラマンさんにまた涙が溢れてくる。
もうこの本当のメイキングすら映画のような、トークショー時やロビーでのサイン会も映画の延長のような不思議な気分になった。
側から見たらくだらないようなゾンビ専門チャンネルの生放送なんて視聴者の数も多くはないのに、その限られた世界の中で懸命になる人達がいて、映画ってなんて楽しいんだろうと心の底から思えた。
映画が好きで良かった、観て良かったと思える、出会えたことに感謝できる作品。
早くもう一度、もう二度と観に行きたい。
よろしくでーす、ポンッ!
2018.7.5 生き返り鑑賞① 追記
37分の劇中劇、この裏で何があったか知っている分前回より面白く思える。今回はあまり酔わなかった。
再確認・再発見しつつ好きなシーンや好きな人がどんどん増えていって本当に楽しい。
意識が高く考えすぎなイケメン俳優、神谷が終盤で何かが弾け、臨機応変に対応し必死に動き「身体が勝手に…もう何も考えられなくなってきました…」と言うシーンが好き。
きっとこの後の神谷は、スタッフや共演者たちと笑い合って、俳優として人間として、さらに成長していくんだろうなー!と、上から目線は承知だけど胸熱が止まらない。山ノ内くんと仲良く熱く語ったりしていたら面白いな。
カメラアシスタントの松浦さんも可愛い。
カメラ交代した時の、真央の反応も面白くて良い。定番すぎてダサいけどそれが良いみたいなことって何でもあるよなと思う。原点回帰。早くもう一度観に行きたい
2018.7.14 生き返り鑑賞② 追記
山越大ピンチからの真央の機転、大沢Pへの「判断!早く!判断!オーケー!」の言い方がめちゃくちゃ好きだ…
現場でカンペを見る役者とカメラマンのものすごい形相も好き。この企画本当とんでもないよな…
この作品を観ていると、全力で部活をやっていた時を思い出す。
ハプニングもトラブルも絶えない中、ドタバタしながら何とか乗り切って最後にみんなで泣き笑いしたあの時の感覚がすごくリアルに蘇ってきて、何も関わっていないのに自分が青春しているような気になってくる。
同じような気持ちになる映画はいくつかあるけど、今現在のこの作品の広がり方や演者さんスタッフさんの熱をとても近くに感じることも影響しているんだと思う。
2018.8.8 生き返り鑑賞③ 追記
回を追うごとに一人一人のキャラへの愛しさが溢れてくる。吉野ADが山越の生首を持ち勢いよく回り飛んで見切れを避けるのが面白い。
腰痛カメラマンの撃沈時の顔芸も好き。めちゃくちゃ辛いんだけど声は出せないし…あの後ちゃんと休めたのか、治療はしているのかなど謎に心配になってくる笑
そして神谷がグダグダ文句言いつつもトラブル時には毎回一番率先してアドリブを入れ繋いでいるのを観て、めちゃくちゃ有能だなと思った。
有能で頭が回るからこそ、妥協できなかったり納得できないことも多いんだろうな。
神谷の目線だと、日暮監督から見る古沢Pのように理不尽な監督とスタッフに思えていたんだろうな…そしてやっぱり最後の彼の機転と表情には心臓掴まれる。
現場を知らない上の人に理不尽を言われたり、トラブルが起こってもやり切らないといけなかったり、どんなに小さな規模でもその枠の中で全力で頑張ることだったりと、大なり小なり自分たちにも覚えのある状況がたくさんあって共感できるポイントがとても多い。
どのキャラクターにも個性と見せ場があって、細かい所で感情移入や応援できるのが魅力の一つなんだと思った。
あと、シンプルに話が面白い。
2018.8.11 生き返り鑑賞④⑤ 追記
「ONE CUT OF THE DEAD」にて、トラブルが無かった時の話の流れはどうなっていたのかと元々の台本を読み解きながら観るのが楽しい。
山越が場を離れなかったら監督の話はどう行きつくのか、どのタイミングでどう山越はゾンビ化するのか、晴美が暴走しなかったら斧はどこで手に入れる設定だったのか。
回ごとに注目の人物を決めて、その人の視点や感情を推し量りながら観るのも楽しい。
最近は神谷和彰がお気に入りだったけど、カメラマン組に注目するのも面白かった。
地味に笑えるのが、片腕メガネとアル中がゾンビのくせに晴美のハイキックごときで死んでる所。
2018.8.20 8.22 生き返り鑑賞⑦⑧
今までずっと神谷に注目していたけど、主演女優松本逢花に注目してみた。
護身術の件では後ろでちゃんと細かいリアクションをしていたりと、機転はあまり効かないけど案外ちゃんとやってる事に今更気付いた。
「こんな所に斧が、ついてるわ」のセリフはあまりにもチンケな名言で、でも作品の為に咄嗟に出てきたんだろうなと思うと可愛い。
最後に奇声をあげて監督を殺しにかかるシーンと、血の儀式の文様へ揚々と歩くときの表情がとても好き。
繰り返し観ていると荒も矛盾も見えてくるもので、でもその綻びをあれこれ考えながら補正していくのも楽しい。
観る回によってそれぞれの要素に乗れたり乗れなかったりするし、大したことないと思う気持ちも褒められすぎて嫌になる気持ちもめちゃくちゃ分かる。
それでもやっぱり楽しくて憎めなくて、好きだなと思ってしまう。好きな音楽を繰り返し聴くような感覚で。
まあ流石にちょっと飽きてきたのは否めないけども。また時間を置いて、まだ上映していたらたまに観て、その度に色々考えることが出来たら良いな。
これからも出来る限りの範囲で、大作もインディーズも関係なく様々な映画を観ていきたいと改めて思った。
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