「駄作ではないが、高評価は内輪ネタ」カメラを止めるな! あららばさんの映画レビュー(感想・評価)
駄作ではないが、高評価は内輪ネタ
まず冒頭30分のゾンビ映画部分ですが、あまりにもつまらなく苦痛です。
後半部分が前提の前振りであると知った視聴後でも、納得のいかない退屈さです。
「面白いゾンビ映画だけど、違和感がいくつもある」
これが理想だったはずです。
次に、ネタばらし裏方パート。
監督が急遽代役となり、主演役の若い役者2人に本音をぶちまけるシーンは面白かった。
キレる監督と怯える役者2人が演技じゃなくて3人とも素だったんだと分かり笑えて、主演役2人のワガママへ視聴者が抱いていた不快感へのカタルシスもある、とよくできたシーンです。
あれぐらいのシーンをいくつも撮れていれば面白い映画になってたと思いますが、その後は予想の範囲を超えないただの答え合わせのような展開が続き、そのまま終わりました。
わずか2つの劇場で公開スタートしたこの映画は、最初は関係者やその知り合いが主な客だったことでしょう。
正に内輪で過大評価を生み、ネタバレ禁止ということからも批判的な意見は目立ちにくく、内輪の面白いという評判のみが広がっていったわけです。
マスコミも便乗しました。
そして、一般層にまで広まった結果、ネットでは酷評の嵐という当然の結末に。
この作品とそれを絶賛する人間から伝わるのは「映画愛」というより、「映画を作った俺達サイコー!」という自画自賛のような「自己愛(身内愛)」でした。
クラスみんなで作った自主製作映画のような作品です。
その関係者が見れば最高でしょうし、映画製作に関わったことがあるような人もその不完全さに逆にあるあると感情移入もするのでしょう。
低予算であることも、それらの感情移入を助長しています。
ですが、それらを全国公開して関係ない他人が見ても、学生が作った映画だなーふーん、本人たちは楽しかったんだろうね~で終わってしまうのです。
もしもこの作品が純粋に面白ければ内輪ウケだけでなく、映画製作の裏側を面白おかしく描いたコメディとして広く評価されたことでしょう。
とは言え、見どころはある映画です。
予算がもう少しあれば、脚本をもっと練る時間もあったのかも知れません。
この映画の過大評価のせいでハードルがかなり高くなってしまっているのが心配ですが、監督の次回作には期待しています。