「見ていて辛い💧」カメラを止めるな! 由良さんの映画レビュー(感想・評価)
見ていて辛い💧
前半の部分のホラーはちぐはぐで話の流れがちょくちょく途切れたり、死んだはずの人間が生き返ったり、とても退屈この上ない。
しかし、なぜそういう映画になったのかというネタばらしが、この映画は巧みだ。
商業監督としてやって来た主人公は、自分の拘りよりも放送できるものを撮るために、目薬を使って涙を流す演出をする父親。
それとは反対に自分の拘りを全面に出して、子役に目薬を使うなと強要してクビになる娘。
この対照的な二人を出すのも面白かった。
(それも親子という設定がより良かった)
ワンカットの生放送の話も制作サイドはインパクトの強さだけで企画を進めてきた感が出てて、無責任感が出ててより物語をひきたててた。
出演者はアルコール依存症の人や神経質で硬水を飲むと腹を下す人、文句や注文の多い若手俳優にアイドルなど、どれもくせ者ばかり。
そんななかで、放送直前に出演者二人が事故を起こし急遽代役を主人公夫婦が引き受けることに。
それだけでも結構な事件なのに、次から次に問題が引き起こされる。
先ほど感じたちぐはぐ感がなぜ引き起こされていたのか、次々に解明されていく。
そのたんびに笑わずにはいられないけど、現在も映像の仕事に携わる人間としては、後々複雑な心境にもなった。
私が作っている映像は私の作品ではなく、お客様の作品だから、私の拘りよりもお客様の望む作品を作らなければならない。
結婚式の仕事だから、もちろんいろんなハプニングも起こる。
あまり詳しくは書けないが、新郎、新婦だったり、ゲストだったり、もちろんこちらの機材トラブルだったり、生ならではのハプニングは起こらないわけがない。
そんななかでもお客様が納得できるものを提供していかないと、下手したら損害賠償の問題までなってしまう。
その事を考えると素直に笑えなくなってくる。
トラブルが起きてもそれをどのように商品として相手に提供できるのか、この主人公や娘のような工夫が私にも常に求められるのだと、改めて感じた。