劇場公開日 2018年6月23日

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「奇をてらっただけではない良心的映画」カメラを止めるな! ヨックモックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5奇をてらっただけではない良心的映画

2018年8月28日
PCから投稿

なるほど構成には唸らさられる。はなから一筋縄の映画ではないと食ってかかって観ているので、前半パートが劇中劇であると予想しつつも、それを裏切る“何か”があるのではないかと注意深く細かなところまで心の中の猜疑とツッコミを重ねさせることで、後半のネタばらしが最強に効いてくる。素晴らしい設計で隙がない。

一方で一発ネタの飛び道具かといえばそうではなく、特に製作畑の業種ならば思わず膝を打って「あるある!」と言いたくなるような日々の仕事の後ろめたい妥協や、個性際立ち身勝手極まりない専門職種の連中とのやりとりを経て、小さな成功を得る過程はまさに良心的で王道な「仕事讃歌」の物語であり非常に日本人的でもある。

彼らの成し遂げたことは誰に評価されるわけでも褒めそやされるわけでもなく、しかし確かな満足感に満たされて撤収作業に取り掛かるラストシーンの、なんて清々しいことか!!

制作費が200~300万円で、ハン・ソロを2秒程度しか撮れないと話題になっていたが、逆に役者やスタッフの給料が凄まじい薄給で使い倒されているであろうことも察せられて、作中のシナリオだけではなくリアルな要素でも映像制作業界の闇を感じられた。

ヨックモック