「映画愛に満ちている」カメラを止めるな! よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
映画愛に満ちている
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<『歯切れの悪いセリフ。観客が作品世界へと没入することを拒むかのような、ありえない間。「ゾンビ映画」の撮影中に、本物のゾンビが出てきて撮影は大パニック。』というワンカット・ムービーを撮った人々の物語>であり、最後はいちばん大きな意味でのこの映画のメイキングが流れるという、映画撮影に人生を賭ける者たちの哀歓を丁寧に何重もの小箱に包み込んだ、お金はかかっていないけど手の込んだ楽しい贈り物のような一本である。
監督はじめ、この映画に携わった人々にある重大な事実を突き付けられたような気がする。
実は、映画が楽しいのは、「観る」ことではなく「撮る」ところなんだということを。
映画を年間何百観ようとも、撮ることの楽しさを知らなければ、映画狂いでもなんでもないということを。
でも、同時にこのことも教えられた。どんな仕事であれ、その成果に対価を払う者よりも、成果を生み出す者が一番楽しいということである。だから、様々な職業を人々は続けることができるのではないか。
映画を愛してはいない作品が溢れるこの時代に、映画への愛以外に何も要らないと言わんばかりのこの作品に、世間では予想外の注目が集まっているようだ。
当たり前だ。この夏、本気で観たいと思う作品があるか。申し訳ないが、いくつかのリバイバル上映を除けば、「バーフバリ」くらいしか観たいとは思わない。この異常な暑さの中を、劇場に足を運ぶに値する映画が少なすぎる。
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