「構成のうまさが際立つ」カメラを止めるな! Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
構成のうまさが際立つ
観てて「すげえ面白え!」って興奮する感じにはならなかったんだけど、振り返るとジワジワ面白かったなあって思うんだよ。
『ゾンビ映画を撮影してたら、本物のゾンビに襲われた!』って話が進んでって、まあ普通と思って観てくんだけど、途中で「これワンカットで撮ってる」って気付くのね。で、これが《One Cut of the Dead》ってタイトルの劇中劇。普通に「なんとワンカット!」っていうありがちな宣伝文句で公開して、まあ納得のできだと思う。
《One Cut of the Dead》が終わると「実は、この撮影の裏側はこうなってました」って感じで《カメラを止めるな!》が始まってって、「そういうことか!」ってなって、アハハハってなるんだね。
ENBUゼミナールが提供するレベルでなら十分に面白い《One Cut of the Dead》を準備して、更にそこに一捻り入ってくのが凄いなあと思った。
《カメラを止めるな!》の劇中劇で《One Cut of the Dead》があって、更に《One Cut of the Dead》の中でも映画撮影してるから《One Cut of the Dead 劇中劇》があんのね。三重構造が絡まって作品になってるから面白いの。
複雑な仕組みを作る中で伏線はって回収してくんだけど、これをキャラクターの特徴からくる無理ない設定でやってくのがうまい。だから強引な感じがしないんだよね。
「妻が突然出演!」「娘が途中から仕切ってる!」「突然『ちょっと』って人が外に出てく」「ダサカッケー撮影やりたい助手とやらせないカメラマン」ってところも、キャラ設定のうまさで納得の展開。
それでストーリーの太い線には、さりげなく父と娘の物語が入ってる。「ライブでワンカットのゾンビ映画なんて仕事受けないでしょ」ってところや、「なんで撮影現場に妻と娘いるの?」も父と娘の関係の中で自然に流れてる。ラストのクレーンのところでも写真出してきてうまい。
これK's cinemaとかで何も知らない状態で観たかったな。「面白い!」って聞いてたらからハードル上がってて、そこを越える感じではなかったから、観てるときはちょっとモヤモヤは残った。
観終わって色々考えると、改めて面白い映画だったなあと思ったよ。