十年 Ten Years Japanのレビュー・感想・評価
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どうひいき目に見ても、今年のワースト邦画
脚本が、どれもこれも酷い。
「PLAN75」は低所得者や健康毀損者を「姥捨てる」話。陳腐感しかなくて×。川口覚の演技だけは〇。
「いたずら同盟」はIT管理特区と言う名のもとに行動・心理を管理する実験材料となっている子供達が、システムアップデートの隙を利用し、管理の届かない特区外へ抜け出る、偶々。と言う話。國村隼の壮絶な無駄使い。×。
「DATA」だけは許容範囲。嘘をつく才能を、母親から遺伝された娘の話。杉咲花の愛らしさに免じて△。脚本自体は、書き足せば結構面白くなると思う。
「その空気は見えない」。原発爆発の放射能汚染から地下へ逃れた人々の中に、その母娘がいる。娘は「外の世界を見たことのない年長の少女」の後を追って地上へ出ていき、放射能で破壊された外界を目にする(多分)。もう、漫画の同人誌レベルのシナリオ。この尺の中では精一杯にやった方かとも思うが△。
「美しい国」。徴兵制が始まった日本で、政府広報ポスターのデザイナーと代理店の若者を使って、9条保護をソフトに訴えかける話。太賀と木野花さんの演技に免じて△。
政治的な話はしたくないので、ここまで。一つだけ言わせてもらうと、「物事の一辺だけを切り取り、全体説明をあえて避け、偏った価値観をすり込もうとしている、ソフトイメージアジテーション映画」。全力回避した方が良いよ、って言います。
『PLAN75』 監督 早坂千絵 75歳になると安楽死を選べる社会...
『PLAN75』 監督 早坂千絵
75歳になると安楽死を選べる社会。
『いたずら同盟』 監督 木下雄介
第1話の途中で落ちる(-_-)zzz
気が付いた時は第2話が終わったところだった。
情け無い(p_-)
『DATA』 監督 津野愛
☆☆☆★
杉咲花ちゃんの、少女でも無い。でも大人とも違う無垢な魅力。
ここに、最近絶好調の田中哲司の父親。
母親の秘密を盗み見た娘。娘の振る舞いに、妻の姿を投影する父親。この2人の微妙な親子関係。
『その空気は見えない』 監督 藤村明世
☆☆★★★
原発汚染のその後、人間は地下へ逃げる。
『美しい国』 監督 石川慶
☆☆☆★★★
『愚行録』がとても良かった石川監督だけに、注目したが。それが間違いでは無かった嬉しさ。
徴兵制度が施行された近未来日本。制度を広めるべき、日本政府から宣伝を任された広告代理店の社員が太賀で、広告ポスターの作者が木野花。
あ?この2人って、先日観た『母さんがどんなに僕をきらいでも』のコンビじゃないか!
いや〜!このコンビが凄〜く良いんだなぁ〜これが!
「こんな時に不謹慎ですね!」と言うが。「◯ー◯は死なないから良いのよ!」と返す。
如何にもといった感じの、代理店社員の太賀も良いが(ここ数年、彼は何を演じても良い)本心では若者たちの未来を憂いている木野花が良い。
もう今年の助演女優賞は、『愛しのアイリーン』と併せて木野花で決まりだ!
そして何よりも、石川監督の次回作『蜜蜂と遠雷』への期待が高まる。
高齢者対策として、75歳になると安楽死が選べる社会。「早く死んで下さいね!」と思われ。
他人の記憶はデータ化され、それを盗み見する。
原発汚染の近未来。
徴兵制度が始まり、若者たちは戦場へと散って行く。
何だか、日本の未来をこんな風に切り取る作品ばかりで鬱になって来そうだ!
明るい社会へと向かう希望の光は無いものだろうか。
今、世界的に拡がりを見せ蔓延っている【民主的独裁政治】の世の中では、とても難しいのか?…と。
2018年11月20日 キネマ旬報シアター/スクリーン1
子供達の未来
五つのショートストーリーで構成されている作品群である。五つそれぞれは繋がりはないが、それぞれが日本に於けるディストピアを描いていて非常にヒリヒリする内容である。とはいえ、キチンとした結末があるわけではなく、匂わせてもいない作品もあって、かなりの想像力を働かせなくてはならないものもある。その辺りが『世にも奇妙な物語』よりも上級者向なのかと思ったりする。
特に自分が注目したのが『DATA』。多分、他作品よりも有名な俳優が出ていることが主因かと思うから、知ってる人が出演しているということはとても大事なのだと改めて強く感じる。今作品のみ、ある程度のハッピーエンドを予感させる内容も手伝って、幸福感を覚えた。
少々、説教臭い内容もあるのだがとはいえ、そこまで偏った方向制ではないのりしろの部分もあるので、それぞれ鑑賞した人に委ねている作りである。但し、一番大事な“イマジネーション”をきちんと働かせることができるかどうかが、今作品のテーマであろう事は間違いない。
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