「ホテルという “ 仮面舞踏会場 ”」マスカレード・ホテル 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
ホテルという “ 仮面舞踏会場 ”
ヒトは、おおむね、仮面をかぶっている…
それは自分の保身のため、心を傷つけないため。
そして時には他人や自分自身をも偽るため…
環境や状況に応じて、無自覚に、また意識的に
彩りの異なった仮面を複数、その都度、使い分ける…
ホテルにいらっしゃるお客様は
「自分は特別扱いされたい」
「自分の期待を越えるサービスを求めている」
と以前、わたしが受講したセミナーの
“接客マニュアル”の一節に書いてありました。
当然、お客様を〈お客様〉とお呼びになることも含めて…
《ホテル》とは、実に様々な願望
そして事情を持ったヒトたちの思惑が行き交う
【 ジャンクション / 人間交差点 】であり
《ホテル》という、特別な空間に身が踊り出し
浮き足立つ素振りを隠しつつ平静を装うヒトたちの
【 マスカレード / 仮面舞踏会 】でもある。
それが、本作の舞台。
仮面の下の素顔を見透かす刑事と
心にマスキングテープをするように、自分の感情を
覆い隠し、平常心を持って接客応対するホテルマン…
(長澤まさみ さん演じる
山岸だけは素顔だったと思いたい)
この平行線を辿るバディが物語が進むにつれ
同じ方向にベクトルが向き、交わっていく様を
痛快に描いたエンタメ作品!
ミステリ要素と人間群像劇を
同じベクトルで表現できている事に好印象!
フジテレビにおける木村拓哉さんと鈴木雅之監督。
両雄の、今までの作品群へのオマージュと共に
遍歴を綴った集大成とも言うべき
本作『マスカレードホテル』を
平成から新元号に移り変わるこのタイミングで
意図的に公開上映に持ってきたのを
わたしは、万感の想いで、感傷に浸りつつ
観賞に浸りました…
そして何より、フジテレビの「凄味」をも感じました!
さてここからは新コーナー!
【勝手に深読み】のお時間です!
お付き合い頂ければ幸いです(笑)
わたしが今回、一番引っかかったセリフ
事件解決後の「頭が良いのも考え物だなぁ…」です。
この言葉がわたしにはナゼか
気難しい既存の映画ファンに向けられて
「エンタメなめるなよ!」と
「こういう作品があってこそ
映画界全体が成り立っているんだぞ!」と、
言っている気がしました…
あと、作中で暗に、TBSを牽制するような文言
(グットラック、そして“ホテル”そのもの)などから
ひょっとして、〈頭が良い = 社会派企業もの〉
のことを言っているのか?と…
木村さんシリーズ擁する【フジテレビ】と、
池井戸潤シリーズ擁する【TBS】との対決を
意識しているのではないかと…
という訳で、『マスカレードホテル』以前から
映画館と疎遠になっていた方も
エンタメ作品を敬遠していた既存の映画ファンの方も
合わせて『七つの会議』をご覧頂ける様に
“ぜひとも!!”
いち、映画ファンであるわたしの想いです…
最後に…
ウワサになっていた
「さんまサン」を見つけた事よりも
転んじゃった女の子が「早坂ひららチャン」
であると気付いた事の喜びの方が大きかった事の
なんとわたしの卑屈さよ…
ひららチャン、見ない間におっきくなったね!
2019/02/04 劇場にて鑑賞
ユナイテッドシネマグループの会員制サイトから転載