「スカッとばあちゃんに登場して欲しいマトリョーシカホテル!」マスカレード・ホテル Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
スカッとばあちゃんに登場して欲しいマトリョーシカホテル!
映画作品の冒頭で、空撮から、ホテルのエントランスのアップへとカメラが徐々にズームダウンしていくと自然に、何か大きな展開が起こるかも?と観客の期待感は自然と膨らんでしまう。
そして言わずと知れた、本作の主人公はキムタクと言う事も有り、早い段階から、映画館では予告を流すし、TVでも宣伝番組を多数流していたので、映画公開前に期待値が自然と高くなるようにシカケが張り巡らされているのが本作かも知れない。
ひょっとして本作を観る前から、観に行こうと考えている観客には映画を楽しむ様々なトリックが仕掛けられて、映画ファンは作品の中の参加者の一部に事前になっていたのかも知れない?
ところで毎度の事なのだが、私は本作の原作である東野氏の本を未読なので、この映画がどれ程東野氏のベストセラー作品の良さを描き出しているのかは分からない。
だが、私が本作を観て感じた印象は「マスカレード・ホテル」と言うよりは「マトリョーシカ・ホテル」と言う感じだった。
連続殺人犯の予告に因って次なる殺人の犯行現場がこのホテルと言う事。
チョット一般庶民には豪華なホテルと言う事で、そんな大きな舞台では事件もテロなみにドデカイ事件性を期待してしまったのは私だけだろうか?
ホテルとがっちり協力して捜査本部がホテル内に出来て潜入デカが何人も出入りするとなれば、自然と結婚式を控えた客の登場も有り、結婚式を狙うテロ話かな?と勘違いしてしまう。
更に、客として登場する人物も濱田岳、笹野、高嶋、生瀬、菜々緒とクセの有る役者をドンドン順に登場させていくので、彼らは何か事件と関連が有るのでは?と物語に引き摺り込まれる。真犯人との接点等を期待するのだが、この人物達はどれも不発。
この下りがドンドン1つのエピソードに付き合う度に不発で終わり、事件性ゼロになる始末。これこそ、蓋を開けると次なる箱って感じで、これぞ、マトリョーシカ!しかも中身ゼロ!
だが本作は、普段では観る事の無いホテルの裏事情エピソード集特番を観られたってところでお買い得セールってとこかな?
お客のエピソードの数々が単なるお客の個人的な我儘で終止するので、これ笹野さん、お客で登場せずにスカッとばあちゃんとして登場してくれたら、一発で問題解決でしょう?
それもこれも、総てはキムタク演じる新田と長澤演じる山岸の距離を縮める為のエピソードだったと言うトリックか?
なるほど総てのお客様はマスカレードだね!新田と山岸の主宰する仮面舞踏会のお客様でした。
ところで、さんまさんが友情出演しているとTVで放送していたけれど、私はそんな事は忘れていてテロップに彼の名前を見て、どこで出ていたか?全く気が付かなかった。でもそれだけを確かめにもう1度本作を観る気にはなれないのが残念!
キムタクファン、長澤ファン或いは、松たか子ファンには観て損はないのかな?
私は公開3日目の日曜日の朝、第1回目の上映にも関わらず、おそらくキムタクのファンであるだろう熟女で映画館は満員だった。