劇場公開日 2018年7月6日

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「恋愛映画でもあり青春群像劇でもある」虹色デイズ ドラゴン竜さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0恋愛映画でもあり青春群像劇でもある

2020年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

まずこの映画はカルテット主演と銘打ってあり、群像劇としての側面が強い作品です。そこをあらかじめ分かっていないと、一人の恋愛メインではないことに違和感を感じてしまうかも。
私は見る前、まっつん役の中川大志君が主人公かと思い、他の人のエピソードがしっかり描かれていて意外に思いました。

一応、メインは短髪のなっちゃんなんですが、中盤はまっつんのエピソードが多いです。
それに加え、彼女と進路で迷うつよぽん。
皆のように燃えるような恋愛がしたいが、友人のサポートに回る恵ちゃんなど、男子四人全員が恋したり悩んだりしてるのがこの映画のポイント。

高校生活って人にもよりますが、恋愛だけじゃなくて友情っていうのも大事だと思います。
自分も恋愛をしながらも、友達との恋バナに夢中になったり。特に修学旅行とか。
なのでこの映画はイケメンや美女たちをみてキュンキュンするってよりは、恋に友情に奮闘していた学生時代を思い出させてくれるような映画となっています。

これは登場人物の髪色が原作に比べて派手じゃなかったり、性格もそこまで尖っている人がいなく、感情移入しやすいからかもしれません。
ヒロインの友人であるまりっぺぐらいですね、漫画的なのは。
これにより、結構原作から変更されている部分が多いです。
だから、原作ファンからしたら、別物って程ではないですが変更点の多さに見るのをやめてしまうかもしれません。

特に原作の羽柴夏樹と演じる佐野玲於君のビジュアルの違いに絶望するかもしれません。
なっちゃんてめちゃめちゃ童顔なんですけど、佐野君はEXILE系ということもありちょっと顔が濃く大人っぽいんです。どっちかっていうと、二枚目、三枚目ぐらいの顔立ち(めっちゃイケメンなことには変わりないですが)
特に周りの三人が正統派イケメンなので、それが際立ってしまっているかも。

しかし、それが逆に感情移入しやすいんですね。
恋愛映画の主役って、たまにモテない設定なのにめっちゃ美男美女が演じるじゃないですか。
それって、俳優のファンからしたら嬉しいのかもしれませんが、純粋に見ると違和感だらけなんですね。
けど佐野君が演じるなっちゃんは、言い方が悪いですが他の三人と系統が違うためモテなそうに見えるんです。
ぎこちない演技も相まって、かっこいいのに「あ、こいつ女子とあんまし上手く喋れないタイプだな」っていうのが伝わってきました。
これがあるのとないとでは、なっちゃんと小早川さんのピュアすぎる恋愛のリアリティ差が変わってくると思います。
このなっちゃんの童貞感は見事でした。

なので、映画見たあとにアニメを見て違い具合に驚きましたが、キャラクター自体はピュアボーイなので合っているなと感じました。
私はどちらかというと恵ちゃんの違いに驚きました。
天然系のイケメンがいて誰かと思ったら、恵ちゃんでびっくりしました。
おっとりして見えるけど実はドSなギャップ男子でした。
それに比べ、映画の恵ちゃんは結構チャラく見えて気が強い部分も見えましたがドS要素はあまり感じませんでした。
一見チャラそうだけど、実は一番友達思いのいい奴。
こう捉えると、ギャップがあるという意味では同じですね。(最後のシーンで恵ちゃんに全てを持ってかれました)

このようにキャラクターの変更はありますが、全体的に原作よりもノリが良くなっているので四人の中の良さは映画の方が伝わってきました。
実写にしたことにより、現実の高校生活とシンクロして懐かしむような作品になっているなと、アニメ版を見て思いました。

映画版は特に衝撃的な展開が多いわけではないので、ストーリーとしては物足りないかもしれません。
しかし、美男美女ばかりなのに随所随所でリアリティを感じるストーリーのため、感情移入はしやすいです。
懐かしくもあり、こんな甘酸っぱい恋愛もっとしたかったなと感じさせてくれます。

じゃあ、リアリティはあるけど可もなく不可もない映画なのかというとそうではありません。
この映画が他の作品と違くて面白い所は、まりっぺの存在とオリジナルキャラですね。

多くのラブコメ作品では、友人ポジションの子って奥手すぎるヒロインを焚きつけたり、逆に同じ人に恋をたりとかします。(全部が全部ってわけじゃないです)
しかしこのまりっぺは、恋のライバルってわけではないのにめちゃめちゃ邪魔をしてきます。
近づいてくる男子たちを明らかに嫌っています。
この理由はちゃんと明かされますが、とにかくなっちゃんを小早川さんから遠ざけ、アタックしてくるまっつんには怒鳴り散らします。
この徹底した男嫌いっぷりが、もう見ていて自然と笑っちゃいます。
これは、アニメを見てそのまんま過ぎてビック知りました。
演じる恒松裕里さん、恐るべし。

そして、もう一つはオリキャラです。
怖くもありますがしっかりと生徒のことを思っていることが伝わってきた滝藤賢一さん演じる先生。
めちゃめちゃ強面なのに正論しか言わなくて、そのギャップが見てて面白かったです。

もう一人いるのですが、この人はほんの一瞬しか出てきません。
ですが、おかっぱ頭で登場してきた瞬間に笑ってしまいました。
なよなよしたキャラが似合う、戸塚純貴さんが演じています。

こんな感じで、ところどころ笑いながらも甘酸っぱい恋愛模様と友情を楽しめる作品なんです。
これを見てると、自分の高校時代と照らしあわずにはいられません。
今学生の人も、今の自分とシンクロする部分があって楽しめるのではないでしょうか。

では、最後に一言。
「小早川さん役の吉川愛さんが可愛すぎる!」

以上です。

高見南純平