ザ・シークレットマンのレビュー・感想・評価
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伏魔殿
フーバー長官の目の上のタンコブっぶりは相当だったんだなぁ。
人の秘密や弱みを握るって相当な力を持つんですね。気をつけよう…
そんな政府にも干渉されない独立捜査組織の権限は所属する人間の論理や理念で、正義にも悪にも(何が正しいのかは人それぞれですが…)なり得る。重いなぁ。
そして組織や自らの倫理を通す為に、裏切りや違法を犯す。
この映画を観た限りでは、自分には主人公は正義の人に思えました。
ただニクソンはどうだったか知りませんが、もし国や国民にベストな指導者がいたとして、その違法を暴き、それにより国益が損なわれる。
人々の生命を脅かす犯罪を違法な手段で阻止する。
何が正しいのか…。
短めな時間の作品でも見応えありました!
ちなみにファーストインプレッションは、リーアムニーソンの老けメイク上手!
そして終盤になって、この人もしかしてダイアンレイン!?って気付いて、時の流れを感じた作品でした…
背景をある程度理解できているかで面白さは変化する
実話を扱った作品で全く知らなくても、あるいは知らない方が楽しめる作品もありますが、こちらは知らないとあまり楽しめないとおもいます。
ペンタゴンペーパーズを鑑賞してるのとウォーターゲート事件もウィキで見たことあるのである程度の理解は可能だった。
しかしながらマークのフーバー長官への思いや、役職へのの想いは背景を知らないと?となってしまう。
リーアム・ニーソンの演技も寡黙であり判断力も決断力も優れている、腐敗していく政府への葛藤等が非常に上手く描かれていた。
しかしながら史実に忠実なので大きな流れもゆっくりと描かれており、若干テンポの悪さが見られた。
絶対的な権力に、しかも相当の立場の人間がリークするのは想像を絶する勇気と決断が必要であったのに違いない。
しかし先日鑑賞したリチャード・ジュエルがこの事件の数十年後にFBIによって犯人に仕立てあげられるという何とも言えない歴史が続いていくのは、複雑な心境だ。
別の視点から描いたウォーターゲート事件
ウォーターゲート事件を扱った映画は「大統領の陰謀(1976)」が有名だが謎の情報提供者だったFBI副長官マーク・フェルト側から描いた映画である。後にワシントンポスト側にもホワイトハウスへの内通者が居てマーク・フェルトの名は伝わっていたことはボブ・ウッドワード記者も認めている。それでも捜査を阻めなかったわけが分かるFBI内幕物語である。いよいよ捜査もクライマックスかと思わせていきなりニクソン辞任の実写になり拍子抜け極まりない。もっともその間は上院特別調査委員会が主戦場だったから出番がなかったのは致し方ない。ウォーターゲート事件は記者の功績に取られがちだが裏にマーク・フェルトありきというのは納得できた。
娘の件や後の違法捜査裁判などは人物伝風に締めくくるための体裁繕いに思えた。映画では描かれなかったが、なんと彼の裁判にはニクソンが弁護側証人で出廷し「全ては大統領命令」としたおかげで軽い罰金刑で済んだというから事実は映画より奇なりである。また夫人が失意の末、自殺したと言うからマークフェルトの人間を描く映画としても尻切れ感が否めない。リーアム・ニーソンの演技は素晴らしかっただけに残念だ。
正確なリズムで長く続けると、ビルに変化が起きる
映画「ザ・シークレットマン」(ピーター・ランデズマン監督)から。
解説には「ウォーターゲート事件」の全容と事件を
内部告発したFBI副長官の姿を、実話をもとに映画化、とあり、
どうして、内部告発に踏み切ったのか、単なる正義感とも思えず、
興味津々でメモを取り続けた。
物語後半、こんな説明があり妙に腑に落ちた。
「サンディ、物理の話だ。ビルの柱を長い間規則正しく叩き続ける。
正確なリズムで長く続けると、ビルに変化が起きる。
振動が内部にとどまり分子が乱されて、
やがてビル全体が内側からバラバラになる。そしていつか崩れ落ちる。
内部から崩壊するんだ」
凝り固まった組織を内部から変えることは、本当に難しい。
そんな労力を使うのなら、外部から一気に叩き潰す・・のが早いし楽、
誰もがそう感じるのだが、それでも内部から変えようとする、
FBI副長官マーク・フェルトの信念みたいなものが心を強く打った。
「FBIは独立した組織だ、誰の許可も必要ない」
「私の望みはFBIが干渉されないことだ」
「ホワイトハウスは我々の上部組織ではない」
「FBIは独立組織です。ホワイトハウスに口出しする権利はありません」
台詞に何度も「FBIは独立組織」というフレーズが出てくる意味、
それこそが内部告発の動機なのかもなぁ。
ペンタゴンペーパーからの〜
この2つの映画は最後のシーンで繋がっている。(わざと⁈)
二本立てで見て初めて大きな社会のうねりが体感できる。
もちろん登場人物も、ストーリーも違うのだけど、
結局のところ、この時代支配者達がどれだけ繕っても先が見えていたのでは?
現在と同じように。
といっても『最強の内部密告者』って内部に守られてこその命なのね。
一般的にひとりイキっても、尊敬と信頼が無いとあっという間に消されてしまうだろうと推測。
ペンタゴン…もそうだけど、信頼と尊敬が最高のセキュリティーではないか。
でも今の時代に、トラップだらけ、監視だらけでこんなことが出来るのか、
(コンピュータのない室内の美しいこと)
金と科学が宗教になった今、何をもって正義を確信できる?
蛇足ですが、奥様の生い立ちが救いようがなく、なぜあの結婚なぜあの親子関係?
主人公の弱さを出したかったのかもしれないけど、奥様は明らかに最初から救いようが無くて、違和感が半端無かった。
実話なんでしょうか?病院行きましょうよ。大きな屋敷で夫も外出ばかり、娘は母親嫌いで家出。でアル中。
あれはいかんです。ホスピタリティが映画の内容に含まれてはいけないんでしょうか?
それとも当時の主婦はああいうもんだったという問題指摘だったんでしょうか?
娘との再会場面は吐き気ものでした。
あれも主人公の弱さをと犠牲者ですかね。
シビアな話ですから、有りかもです。
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