「観た後で、原作が無性に読みたくなった」ベロニカとの記憶 石山紀子さんの映画レビュー(感想・評価)
観た後で、原作が無性に読みたくなった
ブッカー賞受賞作ジュリアン・バーンズ原作「終わりの感覚」を『めぐり逢わせのお弁当』リテーシュ・バトラ監督が映像化した
『ベロニカとの記憶』を試写会で鑑賞
カズオ・イシグロの『日の名残り』がお好きな方には
是非観て頂きたい1本ということで おススメしたい作品
イギリス、ロンドン
ある日届いた一通の手紙
40年前の青春時代への記憶の旅が始まる
人生の謎を自ら解き明かす感動のミステリー・・・
このミステリーの結末は「若さ」ゆえの過ちが導いてしまった悲劇だったというこの作品のこの結末部分をネタバレさせても
観に行く価値が下がることには繋がらない
そこへ至るまでの
主人公トニー:ジム・ブロードベンとベロニカ:シャーロット・ランプリングの芸術的な演技を中心として進行していく物語を観ることに価値がある作品
特に、シャーロット・ランプリングの凛とした美しさの中に浮かび上がる静かな心情が匂い立つ演技は、ベロニカの過ごしてきた時間の重みについて想像を掻き立てる
この作品の良さは 彼らの演技だけでなく
何気なく描かれている エピソードの一つ一つが
自分のモノのように
懐かしくて愛おしく感じてくるから不思議だ
この作品を楽しんでいる自分と
作品を通して自分も過去を振り返っている
決して ノスタルジーに浸る作品ではない
静かに内面に切り込んでくる
人生を哲学的にエンタテイメントした作品だった
だからなのかなぁ
映画を観終わった後
無性にこの作品の原作を読んでみたいと思い図書館に予約を入れた
原作はどんな感じなんだろう
今から本と会うのが楽しみ!
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