「青春は生きることの原点」SUNNY 強い気持ち・強い愛 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
青春は生きることの原点
本作は、邦画にしては珍しい90年代のヒット曲を盛り込んだ音楽満載の作品であり、爽やかでほろ苦い後味の良い青春映画である。
高校卒業後、20年以上が経った主婦・阿部奈美(篠原涼子)は、夫と長女の3人暮らしで、満ち足りない日々を過ごしていた。彼女は、ふとしたきっかけで高校時代の親友・伊藤芹香(板谷由夏)と再会する。芹香はガンで余命1か月であり、高校時代の親友グループ・SUNNYのメンバー達との再会を望んでいた。芹香の希望を叶えるため奈美は、メンバー達を探し出していく・・・。
本作は、奈美たちの現代と高校時代の1990年代を並行して描いていくが、1990年代の熱気が際立っている。時代そのものが活気に溢れていたことに加え、何と言っても青春を謳歌している奈美たちの姿が生き生きとして眩しかったからである。
冒頭の奈美家族の朝食シーンが印象的である。食卓の片方に一直線に並んでの食事シーンでバラバラな家族状況を端的に示している。邦画の名作『家族ゲーム』を彷彿とさせる。
篠原涼子が落ち着いた自然体の演技で奈美の心情を巧く表現している。一方、奈美の高校時代を演じる広瀬すずは、垢抜けない素朴さを強調して、田舎育ちで多感な高校生を表現している。本作では、高校時代と現代を別の役者が演じているが、篠原涼子と広瀬すずを始め、他のメンバー達も、なるほどと思わせるくらい違和感なく鑑賞できる。
高校時代は丁寧に描かれている。演者達の演技も自然体であり、楽しいことばかりではないリアルな青春が活写され、当時の自分のことを強烈に思い出す。一方で、現代は駆け足状態で描かれているが、深みの無い現実離れした展開にはならない。メンバーの一人である心を演じるともさかりえが、迫真の演技で厳しく切羽詰まった現代の心を表現しているのが効いている。
本作は、青春が生きることの原点であることを実感できる作品である。特に、ラストは爽やかで心地良い。清々しい気分で劇場を後にすることができる。
みかずきさん♪
丁寧なコメント、ありがとうございます。
1990年代のトレンドや流行った曲が懐かしかったですね。
元となった韓国映画は観ていないのですが、
「あやしい彼女」なども日本人に共感出来る良いリメイクでしたね。
「家族ゲーム」の食事風景と同じ・・・そうでしたか?見過ごしてました。
あの映画は、すごい作品でしたね。
それでは御礼まで。