「現代にも紛れて存続しているギャル達」SUNNY 強い気持ち・強い愛 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
現代にも紛れて存続しているギャル達
めちゃくちゃはちゃめちゃでも、ほんとにダメなところスレスレでやめられる、一本筋が通っているのが真のギャル。心も身体も売らない、仲間は助ける、どんな環境でも選択は自分でする。ある意味とっても大和魂の染み込んだ日本人。やって良い範囲を超えるのは断じてアウトなのが画として示されることで、ギャルの定義がより示されていた。バブルが弾けて不況が家庭にも反映される中で多感な時期の少女達が発散口としてギャルになっていった。
アムラーコギャル世代の篠原涼子、当時安室奈美恵と同じ小室組に一瞬いて、歌も歌っていたもんなぁ。小池栄子もバリバリの現役感で、すごく画面が華やかになる。街中にいる篠原涼子と同世代のおばちゃんも、コギャルだったのかもと思うとなんだか楽しくなる。あんなにエネルギーと笑いに満ち満ちていた世代が、今は普通に社会に紛れているなんて、もったいない!ギャルになったことも憧れた事もないけれど、思いっきりあっけらかんとはっちゃけてくだらないことで笑い転げているところは見ていてこちらも面白いし楽しい。家庭環境やら色々あっても、落ち着ける友達がいて一緒にいれば楽しく過ごせて思いっきり青春を謳歌した学生時代があるなんて最高だと思う。
再現世代の広瀬すずと池田エライザのスタイルの良さに驚く。山本舞香はぴったりのリーダー役だが、グラビア路線でない広瀬すずがいざ水着になれば、顔だけでなくスタイルでも圧倒的に喰われちゃう。
一際大人びた池田エライザ演じる奈々だけは、15年後も1人2役。顔に傷が残っていなくて、ひと安心。故意に身を隠しているとも言われていたけれど、なんだったのだろう。
広瀬すず演じる奈美の初恋の相手、渉役の三浦春馬。今は亡きと思うと、より一層、戻らない90年代20年代、青春の輝かしさが美化される。ころっと好きになって一生懸命お洒落して近付こうとする奈美だったが、まさか、自分よりずっと大人っぽくて美人で綺麗でやっと親しくなれた奈々の彼氏だったとはショックだっただろう。苦くて可愛い想い出や、喧嘩や仲違いの苦しい想い出も蘇りながら、余命宣告された芹香との1ヶ月は進んでいく。
イキイキしていた10代を思い出して、どこか当時の延長上にいるそれぞれの人生も再びまた動き出す。
勉強より友情を選ぶギャルの価値観が眠る元ギャルの方々が再び今の日本で団結を増したら、活力すごいだろうなぁ。
個人的には、三浦春馬がもういないと思って見ると一瞬の表情すらも残したいとインスタントカメラで撮る気持ち、よくわかる。お互いに家庭ができたことも知り、写真を渡しさようならを告げる場面も、監督の予想以上に喪失感を味わった。作中では渉そっくりの息子が大きく育っているけれど、三浦春馬の遺伝子はもう途切れているのだもんなぁ。どうか天国で安らかにお眠りください。