「なんてかっこいいんだビリージーン」バトル・オブ・ザ・セクシーズ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
なんてかっこいいんだビリージーン
テニスは好きですが、生まれる前のことは全く知らなくて、ビリージーンキングも、ボビーリッグスも、知りませんでした。
ビリージーンキングのかっこよさに震えました。
映画界での男女賃金格差が話題になった2017年ですが、スポーツの世界でも男女賃金(賞金?)格差はまだまだ存在するのが、現代です。
そんな中、先ほど軽く調べてみたのですが女子テニスの賞金ランキングは、男子とそう変わらない。スポンサー料などでの金額差はあるので、総収入では差がつくでしょうが、グランドスラムの賞金では男女同額です。
それってすごいことで、そのすごいことを実現するためにビリージーンキングは、ばかげた男女対決をやってのけて、勝ったわけです。
(日本の)賃労働の世界でも、男女格差は目に見えています。
女性が多い業界は、とにかく低賃金ですしね。
仕事の内容が易しいから低賃金ならば納得できるかもしれませんが、そんなことはない。
もっと戦わなくてはいけないのでしょうが、そのためのパワーが全然わかないんです、少なくとも私は。
なので、戦ってなおかつ勝利したビリージーンに、ありがたいなあという気持ちと、自分のふがいなさを感じました。
また、美容師ガールとの恋もいいなと思いました。
そして夫がいい人でした。彼はビリージーンを女、妻としてではなく、ビリージーンとして見つめていると感じました。
ボビーリッグスは残念な人で、彼本人が言動の通りの、男尊主義のくそヤローではないと思うのですが、周囲の求めに応じてピエロになってました。お金が欲しいから。
情けないけれど、そうとしか生きられなかったのかなあと思いました。そして妻がラストで許してたっぽいのがあめーよと思いました。
ビリージーンの本当の敵は、テニス協会のえらいさんでした。
笑顔で誹る本物の男尊女卑のくそヤロー。
彼は全く、女が人間であることを知らない様子でした。
人間である男とは同列にならない違う種が女だ、という感じ。
故郷に山ほどいるナチュラルボーン男尊女卑ヤローたちと同じ人種だなと。
これらと戦う気力を私は持てなくて、すごすごと都会へ逃げました。
いまでも陰口しか言えなくて、無力感を覚えます。
無力感から前進できる日が来るのかな。