劇場公開日 2025年10月3日

「因縁が物語を駆動する」アバター ウェイ・オブ・ウォーター haruさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 因縁が物語を駆動する

2023年1月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

最新作を観るにあたり、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を再鑑賞した。

映像のクオリティは前作『アバター』から大きく進化しており、とりわけ水の表現は圧倒的だ。物語の舞台は、ジェイク・サリーとネイティリが暮らしていたオマティカヤ族の聖地・ハレルヤマウンテンの森から海へと移り、メトカイナ族の生活圏である海の世界が描かれる。その海の表現は特撮を感じさせないほど自然で、実在の自然を目の当たりにしているかのようなリアリティがある。

本作では、壮大なSFアクションに加え、「家族の団結」や「父としてどう家族を守るか」というテーマが前面に押し出されている。一方で、その描かれ方はやや人間的な家族観や価値観に寄りすぎているとも感じられた。個人的には、ナヴィを一つの“種族”として捉え、その文化や価値観をより強調した描写の方が、本作の世界観にはよりふさわしかったのではないかと思う。

また、前作でネイティリによって倒されたと思われていたクオリッチ大佐が、人間の記憶を移植されたナヴィ型兵士(リコン)として復活し、シリーズ全体に因縁を持ち込みながら、物語の緊張感を際立たせている。単なる敵役の再登場ではなく、続編としての対立構造を明確にする存在だ。

劇場公開時にも鑑賞しているが、今回あらためて観直したことで、物語の構造やテーマをより冷静に捉えることができた。映像体験としての完成度は非常に高く、その一方で、世界観の描き方について考えさせられる点も多い作品である。

最新作では、その点がどのように深化していくのかも含め、期待が高まるところだ。

haru