「掟破りしすぎで話の展開が読みやすい」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ おーすさんの映画レビュー(感想・評価)
掟破りしすぎで話の展開が読みやすい
いろんな掟を破りすぎていて話が読みやすかったです。ボンド映画を長年みてきた私ですが、フィリックス・ライターはボンドの旧友であり、アイアンマンでいえば、トニーにとってのローズみたいな存在。その人が50年続くシリーズで初めて死んでしまったので、そこからボンドも死ぬと予測できてしました。一応初代から5代目まではある程度キャラクターの設定は引き継いでいましたので、ライターなしのボンド映画はあり得ません(ブロスナンの映画では出てきませんでしたが‥、原作では二作目でで鮫に脚を食べられるほどの重症を負ったがその後も準レギュラーで登場している)ので。ボンドが死んじゃったときは感動というよりやっぱりなという感じです。ライターが死んだときの方が私にとっては衝撃でしたし、あそこでライターが死んでなかったほうがヴェスパーが死んだとき以上の衝撃を与えられたと思います。
音楽についてはなぜ「女王陛下の007」の音楽を多用したのかわかりません。女王陛下の007とストーリーが全然違うし、その音楽を使いたいなら、カーチェイスの最後にマドレーヌを殺しておくべきでした。そしてスペクターに復讐するはなしにしておけば単純明快だったし、イアン・フレミングの原作の流れにも忠実でした(原作では「女王陛下の007」で花嫁を殺されたボンドが「2度死ぬ」で007ではなく7777として日本でブロフェルドに復讐する)。
ただ、この映画のそれより問題なのはボンドとマドレーヌがそんなにラブラブに見えないのとキーとなる兵器が強力すぎることです。おそらくナノ兵器で特定の遺伝子を持つ人物を攻撃することは可能ですが、それは直接接種した場合で伝染していくのはおかしいです。SFでもそんなレベルの兵器なかなか登場しないです。
ここまで辛口でしたがアクション映画としてはよかったです。アクションの撮り方は前の監督よりは上手だったと思います。迫力がありましたし、ストーリーも敵との頭脳プレイはありませんが、意外性はあるので、ボンド映画としてみなければまぁまぁな映画だと思います。
ボンドが死ぬということで製作者ともめてダニーボイル監督は降板してフクナガ監督に仕事がまわってきましたが、フクナガ監督はよくやったと思います(上から目線みたいになりすみません)。この映画の殆どの問題は脚本の問題です。
ノミもパロマもよかったです。女性エージェントとしての説得力がありました。
多分、ボンドをミサイル直撃のシーンをいれずにシャーロックみたいに生死不明にしておけばこの映画の☆一つのレビューは少なくなったでしょう‥。
ダニエルクレイグのボンドは作品が進むにつれて、メロドラマ的な展開が増えたのが若干残念でした。スカイフォールやスペクターが慰めの報酬に比べて興行成績がかなりよかったので仕方がありませんが‥。映画の出来的には、カジノ・ロワイヤル、スカイフォール、スペクター、ノータイムトゥダイ、慰めの報酬の順でしょうね。マーティン・キャンベルが慰めの報酬も監督してれば、このメロドラマ的な展開にならずに済んだかもしれないですね。ただ、実験するのはマンネリ化を防ぐには良いことです‥。
今回はそれが少し行き過ぎましたね。