「ビミョーな出来。でもダニエル・クレイグ007の花道と云う事とアナ・デ・アルマスの可愛さで少し点数甘いかも。ただ一国の一介のスパイが世界平和を守るという話はもう時代に合わなくなっている感あり。」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ビミョーな出来。でもダニエル・クレイグ007の花道と云う事とアナ・デ・アルマスの可愛さで少し点数甘いかも。ただ一国の一介のスパイが世界平和を守るという話はもう時代に合わなくなっている感あり。
①監督が日系であるからかどうか、日本絡みの要素が多いのは日本人としては嬉しさ半分複雑さ半分。能面、クライマックスの舞台が北方領土の島、サフィンの毒草園を取り巻く枯山水風の庭、サフィン作務衣みたいなの着て畳に正座してるし、ボンドは土下座するし。②3時間の上映時間中少しもだれない演出の力業はなかなかのものだが、話の中身は振り返ってみれば突っ込みどころだらけ。過去の行き過ぎたボンド映画みたいな劇画調であれば大目に見れるのだがシリアスな正統スパイ映画調なのでチグハグな印象が強い。③MI6がかなり危険な秘密実験している研究所があんなに容易く襲われるなんてセキュリティ甘過ぎ。スペクターがその秘密実験をどうやって嗅ぎ付けたか、またサフィンがどうそのスペクターの裏をかくことが出来か、全く最後まで説明がないのでご都合主義感拭えず。④ラミ・レマックもオスカー取ってるとは云え悪役として貫禄が足りない。それに、どうやってあの財力・権力・諜報力(スペクター、MI6やCIAを秘密を嗅ぎ付けたり裏をかいたりたする)を得たかも全く説明がないので人物像が薄っぺらい。もっと悪役らしいミステリアスさ・底知れない怖さを感じさせたらその存在感でキャラクターの深堀の不足を誤魔化せたかも知れないのだけれども。ただ、プロフェルドを殺すためにマドレーヌを利用したわけだが、そのマドレーヌが実行の直前に怯み、代わりにマドレーヌに触れて感染したボンドがプロフェルドを殺すことになったことが、ラストでボンドがマドレーヌとマチルドとに触れられないことになってしまう。もしそこまで読んでマドレーヌを使ったとしたらなかなか切れる悪役としてちょっと見直して上げるけど。⑤退場への花道だからかダニエル・クレイグの007はいままで一番カッコいい。アクションの切れも第一作の『カジノ・ロワイヤル』に負けていない。(作品としてはやはり『カジノ・ロワイヤル』が一番だったと思うけど)。⑥純愛(ヴェスパーへの思慕も含めて)を貫くボンド像はまだ良いとして、ボンドがパパになるとはね。第一作(ショーン・コネリーのです)から観てるものとしては複雑な気持ち。ラストは泣かせてくれるが私たちの馴染んだ007映画ではないような気がする。⑦北方領土の島に英国軍艦がミサイル撃ち込んだら凄い国際問題になるだろうし、すべての根源が英国諜報機関が危ない生物兵器を開発していたことにあることが露呈したら、ただでさえ下がっている英国の国際的地位が更に下がるだろうと、この歳になると現実的な心配をしてしまいます。⑧観ている間は結構楽しませてもらったしウルウルもしてしまったが、後で振り返ると結構粗探ししてしまった。日系監督なので本当はもっと誉めてあげたいのはやまやまだがゴメン。補足:アナ・デ・アルマス、やっぱり可愛いわ。新人エージェントでありながら結構優秀だっり胸元の大きく開いたドリスでアクションしたり(スタントだったかもしれないかも)、結局“Next time, longer. ”は叶わなくなったけど。