「今感じる想定外の喪失感とその理由」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
今感じる想定外の喪失感とその理由
ノルウェー、洞窟住居で知られるイタリアの世界遺産マテーラ、ジャマイカ、そして勿論、本拠地ロンドンと、冒頭から元祖ロケーションムービーとしての魅力を発散。一方で、前作『スペクター』から繋がる悪の陰謀を挫くべく、命懸けのアクションを展開するジェームズ・ボンドは、どこか悲壮感を漂わせている。それは、今回のミッションが愛する女性、マドレーヌとの関係に直結しているからだ。
シリーズ最長の上映時間、2時間44分は確かに長いし、所々で脚本の不備が気になる箇所もある。
しかし、これが最後のダニエル・クレイグを堪能したいファンにとっては、時間は思いの外足早に過ぎ去る。鍛え上げた体には若干の劣化が、顔には深い皺が見られるものの、危険な場面でビクともしない鋼鉄の表情と、マドレーヌに対して見せるリアルな感情表現との対比は、思えばかつてのボンドアクターにはなかったもの。時には深刻な怪我を負いながら、出演した全5作を通して、人間ジェームズ・ボンドの物語を演じ切ったクレイグのために用意された"花道"としての『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、期待に違わぬ内容だった。
ボンドシリーズをダニエル・クレイグと共に楽しんだ15年間が、これで終わる。世代やタイミング、そして好みの違いはあるだろうが、幸運にもクレイグ本人に2度取材するチャンスに恵まれたこともあってか、自分は今、正直予想していなかった喪失感の中にいる。
私もあっという間でした。15年間楽しませてくれました。実は生きていてマドレーヌと一緒だった!!ってなってほしかったけど、わかってはいたけど終わりなんだと、ボンドはもういないんだと思うと、寂しいです。ありがとう。
ダニエルさんのボンドが人間味があって わりと好きでした 最後かと思うと ホント寂しいです。最後の優しい笑顔に涙がこみ上げてきました。私にはあっという間の2時間44分でした。