ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのレビュー・感想・評価
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生み出すということは、大変だ
一言、「生み出すことは、大変だなあ」。
先に謝ります。サリンジャー作品読んだことがありません(以前浜田省吾さんの記事で、名前を知った程度)。
いや、洋書を読んだことがないが正しい。
いかにして「ライ麦畑でつかまえて」が生まれていったか。
そのサクセスストーリー的な、ガッツポーズはありません。
何を書いても、編集者たちから「説明が多すぎる」「わかりにくい」云々のダメ出し。
加えて「パール・ハーバー」「ノルマンディー」等の戦争で受けた、心の傷。
そのPTSDに悩まされながら、執筆していく様は痛々しい。
作品が売れて、映像化(ビリー・ワイルダーの名前も出てた)を持ちかけられても。
自分の分身である作品を、他人に加工されるのはいや。インタビューもNG。
出版する=自分の手を離れるということは、大切に書いたものだからこそ。
その世界を守りたかったのかな。
印象的なシーン。後半書き悩むサリンジャーが、「瞑想」(なんて宗派?だったか忘れた)に出会い。
それまでの書き悩むシーンから、ちょっと後光がさした感じで原稿が進むところ。
心を落ち着かせるのは、大切なアイテムだもの。
「出版が全てではない」。編集者のアドバイスが、サリンジャーを孤高な作家に向かわせたのかも。
著書を読んでもいなくても。偉大な作家の半生を知ってもいいかもしれません。
ライ麦畑は読んでいない
ライ麦畑を出版するまでは、恋人の裏切りや第二次世界大戦などの出来事に翻弄されるのだが、どうして執筆したのかは定かでない。
有名人になってからは世間から隔絶するが、その動機もちょっと弱い気がする。
情ないことにサリンジャーが理解できないので仕方がないか。
作家に、成る
ニコラス・ホルトという素敵な若手英国男優を知った
二本立て二本目。サリンジャーの伝記映画。こんな人なんですね、よく分...
金言に救われる物語
かなり良かった。脚本、台詞が好きです。
何回か映画で見てきたノルマンディー上陸は、俺の中ではトラウマ級。ライ麦の一部を背負ったサリンジャーが、そこにいた事は初めて知りました。衝撃的。
伝記としては陳腐なのかも知れませんが、サリンジャーに投げ掛けられる金言が素晴らしかった。
シーモアを読んだのが中二の時。早過ぎました。全く響かず。おかげでライ麦は、恥ずかしながら未読。いっそ、一生読まずにおこうかと思う。
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4/14追記
サリンジャーで人生変わった。逆説的に。
中学生の頃、かなりの読書家だったんだと思う。坂下昇訳の白鯨が枕の友で、心躍らせ震えながらページをめくり、詩を読んでいるような文学世界にドップリ浸っていた。ある日、教育実習でやって来た「大学生」にサリンジャーを勧められた。「今思えば」だが、もっと他に勧めるべき作家、いるだろ!って彼には説教してやりたい。
とにかく、シーモア序章を早速買い込んで来て、一気読みして、衝撃を受けた。全然響かない。ツマラナイ。なんなの、これ?そこから読書対象が一転。文芸放棄。いや、読んでも読んでも判らない世界から逃げ出すことにしたんだと思う。教育TVで見た竹内均先生にはまった後は、アシモフ・ガモフに飛ぶ「お決まり」のパターン。この時点(高校入学時)で、理系人生確定。シーモアを読まなければ、理系選択は無かったかも知れない。そもそも、数学の一部は今でも苦手です。
サリンジャーには、その後も色んな思い出があります、ちょっぴりピンク色の。ライ麦は、あらすじは知ってますが、読んだ事は、いや、まともに熟読したことはありません。が、一生、謎のままの小説にしとくことにした。ま、それもアリだろうと思う。
納得の真相
誰もが感じること
なぜ、彼は姿を消したのか
ケヴィン・スペイシーが出演してる映画にお金を払うのもどうかと思ったのだけど、ニコラス・ホルトを観たい!と思って行ってきた
で、結局のところ観てよかった
伝説の小説家 J・D・サリンジャーのことが少しわかった気がした
この映画は世界的ベストセラー小説「ライ麦畑でつかまえて」を書いた小説家 J・D・サリンジャーの生涯を描いている
どのようにして「ライ麦畑でつかまえて」が生まれ、その後、なぜ彼は姿を消してしまったのか
これまで多くの謎に包まれていた「その理由」がわかる作品になっている
私が「ライ麦畑でつかまえて」に初めて出会ったのは20代前半の頃だった
大人たちから押し付けられた社会に反発し、ひたすら悪態をつき続ける主人公ホールデンに共感し「僕は子供たちが崖から落ちないように見守る大人になりたい」と言うホールデンの優しさに感動した記憶がある
そのホールデンというキャラクターの背景には、サリンジャー本人の戦争体験があったことを、この映画を観て初めて知った
サリンジャーは1930年代後半から第二次世界大戦に従軍し、ヨーロッパへ派兵され、多くの仲間たちが死んでいくのを目の当たりにしてしまう
壮絶な戦争体験をした後、終戦して帰国したサリンジャーはPTSDに悩まされることになる
そんな彼が戦時中も、戦後も、心の拠り所としたのが「小説を書くこと」だった
心に深い傷を負ったサリンジャーが生み出した「ライ麦畑でつかまえて」はベストセラーとなり、サリンジャー本人は人々の注目を集めるようになる
その当時、社会に溶け込むことができないホールデンを描いた「ライ麦畑でつかまえて」が爆発的ベストセラーになった背景には、サリンジャーと同じように戦争の後遺症に悩んでいた人々がたくさんいたということだと思った
それは、この映画の中にも出てくるけれど「ホールデンは私だ」と信じ込む人々のことだ
彼らもサリンジャーと同じように従軍してPTSDに悩まされたからこそ、ホールデンに共感し、まるで自分のことを書いていると思うのだ
1980年、ジョン・レノンを暗殺したチャップマンの愛読書は「ライ麦畑でつかまえて」だというのは有名なの話だ
サリンジャーは、自分自身を戦争後遺症から救うために本を書いたのだが、彼が生み出したホールデンが彼から離れて一人歩きしてしまったのだ
そして一気に増加したホールデンのファンたちは創造主サリンジャーを英雄視するようになる
サリンジャー本人は小説を書いても救われなかったのに、彼の小説を読んで救われた人々がたくさんいたというのは、なんとも皮肉な話だ
私は「ライ麦畑でつかまえて」と出会って以来、サリンジャーがその後隠遁生活を送ることになったのが、とても謎だったのだけど、この映画を観てようやく理解できた
サリンジャーという人は、小説家向きではあるけど、戦争に行くにはあまりにも繊細過ぎたのだ
その心は戦争によって破壊され、サリンジャーは自分を守るために固い殻を作ってしまった
その反発心がホールデンというキャラクターを生み、彼の心の奥にある優しさが「崖から子供が落ちないように見守りたい」という言葉を生み出したのだと思った
サリンジャーに隠遁生活を送らせた一番の要因は第二次世界大戦だったのだ
「フィールド・オブ・ドリームス」では伝説の小説家として登場し、「小説家を見つけたら」のモデルと言われるサリンジャー
そこまで熱望されても、一切、マスコミの前に姿を現わすことはなかったサリンジャー
そんな彼の生涯を知ることができて、観てよかったと思った
それにしても、切なずぎる生涯だったな
生きるために書くような
感想がなぜか書けないでいた
うまくまとまるかわからないけれど、書いてみようと思う
子供の頃からの本好きにもかかわらず、かの有名な「ライ麦畑でつかまえて」を読んでいない。
でも、映画を見て、この人が稀有な才能を持って生まれ、また感受性が強く、その感受性と繊細さがこの稀有な才能を際立たせ、だからきっとそういう作品なのだろうと、だから今でも世界中で翻訳され、多くの人に読まれているのだろうと思った。
こんな感受性の強い人が戦場に立ち、心を壊さずに戻ってくることは、きっと想像以上にキツいことだっただろう。
(実際、この頃はまだケアが不十分だったPTSDに苦しめられることになる。)
それゆえに、人を信じられなくなったり、人の集まる都会の暮らしに背を向けたりしたのではないかとすら思えた。
作家であったことは、成功した彼にそういった望まない苦悩ももたらしたかもしれないが、それがあったから、その繊細な内面を表現する方法としての作家としての才能が開花したから、彼は自身を保てたようにも見えた。
出版にこだわらずに書くことは、もちろん成功があって、金銭的な心配をしなくともすむ生活が成り立っていたからこそ、ではあるけれど、その選択肢が彼にあったことは幸いだったかもしれない。
改めて読みたい
昔父親の持っていた「ライ麦畑でつかまえて」を読みましたが、面白いともつまらないともあまりピンときませんでした。詳しい内容も覚えていない程で、この作品を観るからおさらいしたくらいです。この作品を観て驚いたのは、「ライ麦畑でつかまえて」を書いていたのが第2次世界大戦の戦場でだったということ、サリンジャー がユダヤ人強制収容所の解放に立ち会っていたことでした。
戦場での不条理、大人や社会の汚さ、死んでいく若者達や子供達を目の当たりにしていたからこそ、願望としてNYをひとりフラフラ言いたい放題、だけど夢は子供達を助けたいというキャラクターが作りだされたのでしょう。その後の隠遁生活を含めて、サリンジャーの傷の深さを垣間見れた気がします。この作品の鑑賞後改めて「ライ麦畑でつかまえて」を読んだら、きっと少しは若い時よりも理解ができると思います。
実直でまっとうな伝記映画
実直〜!普通の若者が大人になるまでを、そして作家になるとはなんぞやということと二本柱できちっとまとめている。
原題がRebel in the Ryeなので、直訳したよいタイトルだと思うけど、彼は反逆児というよりは先駆者に観えた。先駆者だ、と思ったのは先日サリンジャーに関する講演を聞いたからとは思うが。
今まで存在が見えていなかった、それはどこにも居場所がないと感じていたサリンジャー自身でもある「若者」を初めてアメリカで描いた作家だから。
彼の作品に対する姿勢は自分の主張を通してるだけで、文壇自体への反逆の意志は感じられない。実際はもっと破天荒な人物だったんだろうか?しかし私には至って普通の人間に見えた。ただし、自分の声を伝えたい気持ちがある、途轍もない「本物の」才能を持った人間。家族を思いやれないなどの問題点はあるが…
書く時はいつだって一人なことを、日本版のポスターがとても的確に伝えてて好き…と思ったんだが、本国では背後にスペイシーがばばーんと載ってるから、出せなかったのだろうと思われる。それでも日本版は美しくていいポスターだが。副題は少し説明過多だけど、決して間違ってはいない。
ニコラス・ホルトの自信がある時の表情や、戦争体験で痛手を負った状態まで、幅広い表情が見れる。そしてサラ・ポールソンも良かった。
僕も映画の編集者と同意見でした。
男は15歳を過ぎればイヤな事ばかりなんだ。
2019-10
あぁこの人、ほんとに不器用なんだなぁ。
でも同時に、強い人。
フリパス生活も今日で終わり。
記念すべき最後ですが、なんとなくラララライ。これがアタリ。
こういうシャンテ系映画(うまく言えないのでこの言葉が合ってるかどうかわかりませんが)は、心して見ないとアホは寝てしまうのですが、
サリンジャーの姿が自分と重なって、まさかの共感ムービーでした。
自分自身で、作家とかは人間的に欠陥してる人が多いと語っていますが、こうやって自分の欠落してる部分がわかっていても治せない、治さない、治らない部分とか。
ダイバーシティと言われる時代になっても、変わらず価値観の押し付けというのはあります。
むしろ、変わらぬ価値観をベースにして、そことは別に色んな価値観もありますよって提示されてる気すらする。
それを彼はこの時代から疑い、反発してたんだなぁと。
自分と似てるってわかっても、サリンジャーを見ててイライラする自分がいました。
私も彼のように、一歩踏み出せない場面が人生で何度もあった。まだ20数年ですけど。
でもサリンジャーは自分の意志や生き方を曲げずに貫き通した。
だから強い人なんだと思う。
ニコラス・ホルト、正直ビーストの印象が強すぎたのですが、めちゃめちゃ彷徨う不器用な青年でした。
あとケビスペね。何があっても、やっぱりこの人はいい俳優さんです。
バイブル的一札だけど。
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