「J.D.サリンジャーの映画です。」ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)
J.D.サリンジャーの映画です。
原題は「REBEL IN THE RYE」です。
原題も邦題も映画の内容を表していないので、題名を気にする必要は
ありません。
ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー(J.D.サリンジャー)を
理解できない人々が、「反逆」、「反逆児」とか「ひとりぼっち」と
いうレッテルを張っているだけです。
自分と全く同じ意見を持つ人間は、他に存在しているはずはなく、
誰でもが「反逆児」で「ひとりぼっち」ですが、妥協することで、
「反逆児」で「ひとりぼっち」という現実から目を背けているだけです。
「ライ麦畑でつかまえて」、「ナイン・ストーリーズ」を読んで
理解していないと、楽しめない映画です。
「ライ麦畑でつかまえて」、「ナイン・ストーリーズ」を読んで
いると何気ないシーンも理解できますし、新しい発見もあり、楽しいです。
「ライ麦畑でつかまえて」、「ナイン・ストーリーズ」を読むことが
できない人は、J.D.サリンジャーについて、調べてから鑑賞することを
お勧めします。
昨年公開された「ライ麦畑で出会ったら」を観て、気に入った人々に
もお勧めできます。
「ライ麦畑でつかまえて」の主人公、ホールデン・コールフィールドは、
J.D.サリンジャーの一部なんだと理解できました。
「ナイン・ストーリーズ」の冒頭に「ドロシー・オールディングと
ガス・ロブラーノに捧ぐ」と記載されていますが、
ドロシー・オールディングについて理解することができました。
ドロシー・オールディングは、J.D.サリンジャーの書いた文章を初めて
高く評価し、評価しただけでなく、出版にもかかわり、終生の良き理解者
でした。
「ナイン・ストーリーズ」の冒頭に「禅の公案」が掲載されている
背景を理解することができました。
「禅」が、戦場でしか得ることができない人間が人間を殺すという
経験したJ.D.サリンジャーを救いました。
「禅」が、人気作家でしか得ることができない経験、無名作家への
酷評と人気作家への絶賛により、人と言葉を信じれなくなり、
読者の言葉も信じられなくなったJ.D.サリンジャーを救いました。
人と言葉を信じられなくなり「誰も信じぬ」ということになれば、
孤独に陥ります。
人と言葉を信じれなくなったJ.D.サリンジャーが言葉で人に伝える
という、新作を出版することをしなくなったんだろう感じました。
J.D.サリンジャーが書いた「ライ麦畑でつかまえて」は、人と言葉を
信じられなくなった多くの読者を孤独から救い続けています。
J.D.サリンジャーは、「ライ麦畑のつかまえ役」であり続けていますが、
「耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間」になってしまいました。
私も「ライ麦畑のつかまえ役」でありたいと思いますが、
「耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間」になる気はありません。
大人達が作り上げたインチキな社会のルールに従って生きるのではなく、
インチキな社会に挑戦するべきだと思います。
インチキな社会に挑戦するには、それ相応の資格がいると分かる私には
その資格があると思います。
映画を理解したいという人にはパンフレットの購入をお勧めします。