ナチス第三の男のレビュー・感想・評価
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一定レベルはクリアしてるが、もっとより良い描き方があったはず
人間ドラマといい、サスペンスといい、アクションといい、この監督がそれぞれをかなり高い品質で描ける人であることは間違いない。そしてベストセラー小説を基にしているだけであってこのナチスへの抵抗運動をめぐる人間模様も見応えがあり、それぞれ主軸となる人物を演じる俳優陣もささやかなれど、適度な存在感を刻んでいる。
残念なのは、視点をバラけさせることで一人当たりの人間の厚みが削がれてしまったことだろう。一人のビジョンではなく、あくまで視点の集合体として描こうとした試みはよく分かるが、せっかくここまで丁寧に作り込まれていながら、この構成は非常に勿体なく思える。タイトル・ロールのラインハルトに関しても、彼の人間的な部分を接写しながらそれが全体像とは結びつくことはなくチグハグな印象を残す。私がそう感じてしまうのは、昨年『ハイドリヒを撃て!』という全く同じ題材を扱った秀作が公開されたばかりだから…続きを読む
予備知識があれば面白いと思う
ハイドリヒ暗殺を中心に、暗殺される側ハイドリヒと暗殺を実行する側チェコ人青年の両面を描く。
多くのレビュアーさんたちが書かれているように、この尺でこのボリュームは明らかに詰め込みすぎであり、例えば、ハイドリヒが冷酷な野獣と化していく、なんて描写はないし、暗殺部隊の意気込みや苦悩なんかも薄い。
つまり本作だけ鑑賞した場合、若干薄味であるし、何よりストーリーがよく分からない。
しかし、過去にいくつか作られたハイドリヒ暗殺の映画を観ていて大まかな話の流れをわかっていれば、本作はかなり面白いと思う。
まず前半は、男の尻を叩かせたら天下一品ロザムンド・パイクとハイドリヒを演じたジェイソン・クラークが実に雰囲気があって良い。
ハイドリヒの真っ直ぐさと勤勉さが、彼を金髪の野獣とまで言われるほどに、冷酷で盲目な男に落としたのだろう。
そうなるように支えた…続きを読む
2つの話になってる
比較的早く歴史から消えたナチス幹部の珍しい伝記物と思い鑑賞。実際そのようなストーリー仕立てで進み「ふんふん大殺戮の代名詞となった男も元は奥さんにケツを叩かれてた弱気なオッさんだったのだね。良くも悪くも妻の存在というものは……」などと悦に入ってたら意外に早く暗殺当日に。そこからは唐突に「暁の7人」の説明ほとんど無しバージョンに移行。非業の最期までほぼノンフィクションぽく進むが、背景を勉強しておかないと何が起きているかサッパリ分からんだろう。欧米人にはこの辺りの経緯は我々の真珠湾攻撃ばりに頭に入っているのかね。
まあそれにしても特に東欧におけるナチの残虐非道ぶりは気分が悪くなるほどだが、このような恐ろしい報復がなされる事は計画段階で分かっていたはず。なぜこんなリスクに比べて効果が大して無い(実際ナチスの体制は何も崩壊せずヒムラーに権力が集中しただけ)暗殺計画を遂行したのか理解に苦む。チャ…続きを読む
確かに、
ここのレビューで他の多くの人が書いてるとおり。
まずは、ナチスでさえキレイな英語で話してることに違和感。
主人公が誰か、何にフォーカスしてのストーリーか、変わってるかんじだった。
「Iron heart」を持ってるのが結局誰なのか。
それで時系列も戻る構成だったり、よくあるパターンの作り方。
最後の終わり方もそうだし。
話はわかるしハラハラもする内容なだけに、映画のストーリーの組み立て方が残念。
見事に、レビューのみなさんの多くの感想どおりだった。
【”チェコスロバキアのために!” ”エンスラポイド作戦”をナチス、チェコレジスタンスの両サイドの視点で描き出した作品。】
ー”エンスラポイド作戦”を描いた近作に「ハイドリヒを撃て!」があるが、彼の作品はナチス側の視点は殆ど描かれていなかった。
それが、却ってチェコレジスタンス側の悲劇を強調しており、哀しくも見応えがあった。 が、今作では両サイドからハイドリヒ暗殺作戦を描いたことにより、フォーカスすべき焦点をボケさせてしまった感がある作品。-
今作では、ラインハルト・ハイドリヒ(ジェイソン・クラーク)が、一度は海軍を不名誉除隊になりながら、妻となったリナ(ロザムンド・パイク)の影響で、ナチ党に入党し、諜報活動で名をあげ、ユダヤ人虐殺の首謀者にのし上がっていく過程を前半で描き、後半はハイドリヒ暗殺場面から、苛烈なナチの壮絶な報復場面を描いている。
<このテーマの作品は2度目の鑑賞だが、矢張り観ていてキツイ。けれども、この悲惨だが、勇気あるチェコレジスタンスの行為を風化させない…続きを読む
主役は誰?
ヒトラー、ヒムラーに続いて3番目の権力者ハイドリヒを主人公にしたナチスドイツの映画と思って鑑賞。でも、途中からハイドリヒの暗殺の任務を受けたチェコの亡命戦士ヤンとヨゼフが話の中心に。どちらをメインにしたかったのか、、、
ユダヤ人の虐殺の場面は多くの映画で目にする度に戦争の悲惨さは実感する。でも第二次世界大戦を扱った映画として特に斬新さもなく、主役もはっきりせず、今ひとつ💦
ハイドリヒの深堀りがもう少しあっても良かった。
悪名高きハイドリヒと、彼の暗殺を実行したレジスタンスの物語。
重く苦しい歴史が描かれます。ナチス映画を鑑賞すると、人の命がとても軽く無造作に扱われていることに震撼します。忘れてはいけないことは、このようなことはナチスだけの問題ではないこと。旧日本軍だって、幾つもの残虐行為を行っています。大戦後もベトナムやカンボジア、アフリカ、セルビア等の世界各地で虐殺は行われています。他人事にしてはいけないと、強く感じます。
ただ、映画としては少しばかり不満が残ります。
個人的には、もっとハイドリヒを深堀して欲しかった。彼の残虐性の源、ヒトラーに心酔した理由、長いナイフの夜のこと、等をもっと描いて欲しかった。遠い日本にいる自分としては知識が薄い部分が多くあり、それらを吸収できる、と勝手に期待していました。
もう一つ。レジスタンスは、もっと序盤から描いて欲しかった。中…続きを読む
ヒトラー、ヒムラーに次ぐ
前半は第三の男がナチスとして力を得ていく次第、後半はチェコスロバキアで副総督に就任、暗殺されるまで。
ユダヤ人の大虐殺を立案した男で、とても胸糞が悪い。
the man with iron heart
上のタイトルは英語のタイトルですがこっちのほうがかっこよくないですか?
戦争映画ということで重厚なストーリーですが、レジスタンス視点が蛇足だったかなと感じてしまいました
今年のナチス祭り(個人的に)の始まりの映画でした
レジスタンスの悲哀とか
チェコとスロバキアの兵士の青春もの、みたいな。あれれ?それ、ちゃうんじゃないでしょうか、思いっきり。尺が足りないのか。にしては必然性ゼロのベッドシーンあるし。兵士二人が英国まで流れ着く背景だけでも、胸が熱くなる物語があっても良さそうだし、当時の「プラハでレジスタンスすることの困難さ」も、ヒリヒリするくらいに緊張感が高まるエピソードできそうなのに。
HHhH = Himmlers Hirn heißt Heydrich (ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる)。ドイツ語読みで「ハーハーハーハー」。
久しぶりに見た「レジスタンスもの」。ナチス警察権力のTOPに対する暗殺計画と言う事で、もっと緊迫した場面と展開を期待していたので、やや物足りなさあり。もっと言うと、なんでわざわざ「イギリスのチェコスロバキア亡命政府のおひざ元から、チェコ人兵士とスロバキア人兵士を選んでプ…続きを読む
2つの視点
ナチスの怪物で最も危険な男ハイドリヒの誕生秘話と暗殺計画が二部構成となっている。後半の暗殺計画については他作品でも観ているので目新しくはないが、クライマックスの教会シーンは何度見ても衝撃的であり心が痛む。全般的にはダイジェスト版に感じるが「正義と悪」2つの視点から捉えている作品は珍しい。
2019-81
二部構成だったのか・・・
前半では1929年にラインハルト・ハイドリヒが海軍を不名誉除隊したあたりから、ナチ党員のリナと結婚して第三の男と呼ばれるくらいにまで昇りつめた話。意外だった経歴に軽い驚きを覚えたが、第一次大戦での敗戦からいまだに立ち上がれないドイツをなんとかしたいという彼の愛国心が読み取れる。まずは「我が闘争」を読んでね!なんて、いかにもという感じの女性を演じたロザムンド・パイク。しかし、まだこの頃はナチ党も12議席しか獲得してない時代。先見の明があったんだな。
ナチスに入ってからのハイドリヒはコミュニストを忌み嫌い、ユダヤ人を根絶やしにすることで頭がいっぱい。アーリア人の優越性を説くあたりは、ヒトラー以上の残虐性を持っていたのかもしれないという印象。そのおかげで鉄の心臓と呼ばれたんですね。
ユダヤ人を集めて銃殺するシーンは恐ろしい光景でしたが、この映画ではユダヤ人だけで…続きを読む
ナチスの将校が英語を話しては興ざめ
歴史物で確かに重たいテーマなのでしょうが、ナチスの将校が英語を話しては興ざめ、全てが「嘘っぽく」なってしまいます。例えば先の戦争を描いた映画の中で日本軍が全員英語や中国語で話をしていたら、全てが嘘っぽく見えてしまうでしょう。それと同じ事です。
邦題が、若干“アレ”。ナチで3番目に重要であると言う事の詳細が描かれていない
ナチスの“殺人部隊”であるアインザッツグルッペンの創設者でアリ、“ユダヤ人問題の最終的解決”の実質的実施責任者でもあるラインハルト・ハイドリヒと、彼の暗殺計画のエンスラポイド作戦を描いた作品。
ラインハルト・ハイドリヒの事は多少知っていましたが、はじめのうちは、彼の妻の方がナチス信奉者であり、ラインハルト自身は妻に付いて行ったと言う感じであることは知りませんでした。ちょっと意外。でも、まぁ、彼は元々、前途洋々たる海軍軍人だった訳ですから、軍人時代はナチスとは距離を置いていたのかもしれませんね。ナチ党員になって以降の彼は、その有能さに拍車をかけて、どんどん出世していくわけですが、その過程で、妻との力関係も逆転していましたが。
ジェイソン・クラークが、ラインハルト・ハイドリヒを演じていますが、ちょっとごつ過ぎ(笑)。実際のハイドリヒは、もうちょっとシュッとした、クー…続きを読む
エピソードの寄せ集めでしかない
タイトルと内容が一致していないし、途中で主人公が変わって、まったくまとまりのない映画でした。
ラインハルト暗殺に関係のある人物たちのエピソードの寄せ集めでしかありません。がっかりです。
この物語の後に始まる最大の悲劇
この一連の事件の後、ユダヤ人の絶滅収容所送りが始まる。
女性問題で失脚し婚約者の前でメソメソ泣いていた男が、類まれな管理能力と諜報力を背景に、上昇志向と怨嗟でナチスの上層部に登りつめていく。
ハイドリヒにとって、鶏舎を襲うキツネを根絶やしにし鶏舎の利益を10倍にするのも、「ヨーロッパのユダヤ人問題の解決」、つまり、ユダヤ人を根絶してドイツの純化を実行するのも同じことなのだ。
映画では、ハイドリヒの描き方が少し軽めのように感じられるが、それは、この男が実はその程度で、原題タイトルの「鉄のハートを持つ男」と言われるほどの人物ではなかったと言いたいのではないだろうか。
ハイドリヒの息の引き取り方も、少し情けない感じだ。
原題のタイトルは、皮肉も込められているのだろう。
しかし、ハイドリヒの死後、彼が密かに書類にしていた計画は、ヒムラーらに引き継がれ、アウシュビ…続きを読む
原作を読みたくなるという意味ではよい映画
この映画自体にパワーがないとは言わないが、やはり、原作HHhHの面白さには及ばない。
ただ、HHhHの原作を最初に読むときに感じる、とっつきにくさは、この映画を見ることで解消される。
褒めてるのか、貶しているのかわかりににくいかもしれないが、見る価値はある。
観たあとに、絶対原作のHHhHは読むべきですが。
やっぱり褒めてるようです(笑)
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