「レジスタンスの悲哀とか」ナチス第三の男 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
レジスタンスの悲哀とか
チェコとスロバキアの兵士の青春もの、みたいな。あれれ?それ、ちゃうんじゃないでしょうか、思いっきり。尺が足りないのか。にしては必然性ゼロのベッドシーンあるし。兵士二人が英国まで流れ着く背景だけでも、胸が熱くなる物語があっても良さそうだし、当時の「プラハでレジスタンスすることの困難さ」も、ヒリヒリするくらいに緊張感が高まるエピソードできそうなのに。
HHhH = Himmlers Hirn heißt Heydrich (ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる)。ドイツ語読みで「ハーハーハーハー」。
久しぶりに見た「レジスタンスもの」。ナチス警察権力のTOPに対する暗殺計画と言う事で、もっと緊迫した場面と展開を期待していたので、やや物足りなさあり。もっと言うと、なんでわざわざ「イギリスのチェコスロバキア亡命政府のおひざ元から、チェコ人兵士とスロバキア人兵士を選んでプラハに派遣したのか」の説明が不足してないかなぁ。日本人が判らないだけなのか。要するに、プラハの地元レジスタンスすら完全に一枚岩で組織化されているとは言えず。ナチス要人暗殺なんて彼らだけでは実行の機運すら上がらない。よって亡命政府から二人を送り込んだ。この辺りが、少しもやっとしてた気がします。それ以前に、チェコスロバキア共和国は消滅状態の時期ですやろ。
もう一つ。ハイドリヒの「悪魔ぶり」の表現が全然足りない。あれでも。
ラインハルト・ハイドリヒは、様々な政治的謀略と粛清、ホロコーストに代表される人民虐殺を主導的な立場で実行した人物だと伝えられています。その内容たるや「怖気立つ」としか言い様の無い、戦慄すべき内容が並ぶ。偽装工作・証拠のねつ造は当たり前。粛清と虐殺の悪魔としか言いようがありません。映画前半は、どうやってハイドリヒが悪魔になって行ったのかを表現した、と言う見方もあるでしょうが、全然描き切れていないと思う。「長いナイフの夜」「クラビッツ事件」「水晶の夜」「ホロコースト」。人間、何がどうなれば、こんな事ができるのか、と言う謎は、永遠に解けないと思う。
やるんならもっと思いっきりやって欲しかった。一言で言うと、そんな映画っしたーーーー!