劇場公開日 2020年8月22日

「いつ死ぬかも分からぬシリア市民の日常」シリアにて regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5いつ死ぬかも分からぬシリア市民の日常

2020年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、VOD

悲しい

怖い

戦乱渦巻くシリアが舞台の映画だと、今年は『娘は戦場で生まれた』というドキュメンタリーの傑作が公開されたが、こちらは銃器や戦車を出すことなく、とある一家とその隣人が隠れる密室状態のアパートが舞台というサスペンスドラマに仕上がっている。
戻らぬ夫の代わりに家長となった女性オームの願いは、単純に家族全員が無事であること。それゆえ時には非情にもなる。
特に中盤で起こるある展開には、観る者誰もがどうすればいいのか自問自答すること必至。そこで取った彼女の選択は責められるのか。
いや、砲弾も爆弾も飛び交う日常で暮らしていない我々に責める権利はない。
あと一つ言えるのは、女性は勘が鋭い。

前述の『娘は戦場で生まれた』や、『プライベート・ウォー』などと併せて観てほしい力作。

regency