聖なる泉の少女のレビュー・感想・評価
全4件を表示
『誰の心が怖いの?どの男が怖いの?』
少女の前で先生が
『進歩は近代化の推進。人間は進歩のおかげで幸福に見える。しかし、物資と精神が時を併せて発展した時だけである』
まさか、ヨシフ・スターリンの言葉?
兄弟は男3人と末娘。
一人がキリスト教東方正教会でイスラム教(若しくはユダヤ教)で先生は唯物論者。そして、老人は火を扱う宗教つまり、ゾロアスター教!まさかね。
叙情的でタルコフスキーを彷彿させる綺麗な映像だと僕も感じる。しかし、
ヨシフ・スターリンの故郷のお話。言うまでもなく、ソ連時代に彼は『ホロドモール』と言うウクライナ飢饉を引き起こし、ユダヤ系のボリシェヴィキを粛清した独裁者と解釈されている。
つまり、この地は常に争いの絶えない多民族の交差点の様な国である。
それをうまく表現していると感じた。
因みに、宗教的には争いのない国で、信教の自由をかかげた民主的な国である。勿論、隣国とは争いが絶えないが。
我が親父はヘラブナ釣りの名人だが、親父曰く『魚は素手で触るな!火傷して寿命が縮まる!』
ウユニ湖?
もっと、ジョージアという国がわかる作品なのかと思ったのですが…
予告でみた、幻想的なシーンが気になって鑑賞。
(最近、よくこのパターンで観る映画を決めている気がします…)
だったのですが、幻想的と思えたのは最後のシーンくらい。
湖。
映り込む背後の山々
そしてヒロインの姿
最後はいい感じで終わりました。
冒頭
死んでいるのかと思えた村人が、泉の水によって息を吹き返す場面
呪術をあやつる家に生まれた娘の不思議な話なのかと思ったのですが、
秘密の源、泉の水は枯れつつあったり
娘の兄3人はすでに村を逃げ出していたり
途中からは
いつの時代の話なのかな
とか
日本の田舎の言い伝えにもありそう
とか
そんなことを思って観てました。
土木工事現場や町の描写があるのですが
現代風の映像になるたび現実に引き戻されるような感じがして
それが残念な感じでした。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
聖き水を愛した少女
黒海に面したジョージア(グルジア〉に住むナーメ。俗世と切り離された神秘的な村で、火・風・土そして水の精霊に見守られながら暮らしている彼女。神が宿った大きな沼の水を信じ、ある男性の怪我を負った部分に「聖なる水」を丹念に塗り込んでいる。
村人がその沼の静寂や因習の守れているようで、実に神秘的である。ナーメが真っ白い魚を盥に水を張り飼っている。作品が非常に静かに淡々と流れていく。後半、その白い魚が盥のなかでグルグル泳ぎ回る。世界の流れと隔絶された社会が、ナーメと父親の日常を美しく描いている。ラストは、霧の中へナーメ消えていく場面は、保ち続けた環境の消えゆく様を描いている。
最後は、神秘的な沼さえ消えて行ってしまう所は、監督の環境への細やかな訴えに感じた。
映像がきれいで音がきれい
山村の風景がきれいで、環境音が良かったです。川の流れる音や雨の水滴の音、魚を洗う水音、近くの工場の音。親子の対立では、口汚く罵り合ったりはせず、静かな話し合い。パンフレットで静謐という言葉が使われていますがまさにそれといった感じで、個人的にとても気に入ったので星5です。
伝統の儀式を残したい父と自由に普通に暮らしたい子の対立は、答えが出ないまま外的要因によって静かに終わりを迎えてしまいます。
自分はチラシに書かれていたような今日の物質文明に対する意義などは特に感じず、また喜怒哀楽や善悪なども感じず、諸行無常の理を感じ、ある物事の終わりを見届けたという厳粛な気分で映画を見終わりました。
全4件を表示